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04


「貴様は何をしているのだ。」

私は今荒れ放題のお庭を綺麗にしている真っ只中。ヴォルは家の壁に肩をつき、腕を組みながら呆れたようにこっちを見ていた。顔は土まみれて拭いたくてもその手すら土まみれだ。お庭は魔法じゃなくて自らの手によって綺麗にするから価値があるのだよ。それになぜかシャベルとか道具は揃っていたし。

『誰も庭に手をつけてなかったようだから』

「……そうだな。」

『ここからあっちまで家庭菜園にでもしようと思って。だ、だめかな?』

「いや、かまわん。」

『きっと美味しい野菜とか実ったらヴォルにも私の手作りの料理食べさせてあげるからね!』

そういって気づいたのはここの庭はどんよりとした今にも雨が降りそうな気持ち悪い雲が空を覆っている。これって野菜育つのかな?無理っぽい。

「つい先程まで喜んでいたようには見えぬ。今度はなにを考えているのだ。」

『…ほらこの雲。どんよりしてるじゃない?これだと野菜が育たないなって…』

ヴォルは懐から杖を取り出すと空に腕を伸ばした。するとみるみるうちに太陽がきらきらとした青空が見える。どこからともなく風が吹いてきて心地がいい。私は嬉しくなってヴォルの所まで走っていって思いっきりヴォルに抱きつく。

『ありがとう!!すっごい嬉しい!これでとっても美味しい野菜が育つよ、わたし、頑張るね!』

「……頼むから今度は枯らして泣かないようにしてくれ」

『、今度?』

「いや、なんでもない。それより俺様はいまから少し出かけてくる。体が冷えぬうちに戻れ。」

『うん、ありがとう。ヴォル、気をつけてね、いってらっしゃい』

ヴォルが一瞬泣きそうに見えたのは気のせいなのかな?作業に戻ろうとするとさっきまで心地いい風が吹いていたのが嘘みたいに肌寒い風になっていた。さ、寒い。今日はこれくらいにしてさっさと部屋に戻ろう。バルコニーの扉を丁寧に閉めてエントランスに向かう。バルコニーから直接2階に行けるような通路作ったらいいのに。不便すぎる。思っていたとおりエントランスには誰もいなくて明かりがついているのにどこか暗かった。ここ嫌いなんだよね。さっさと行こう。階段に向かうと向こうから誰かが歩いてきている。暗闇の中からその人物が近づいてきた。

「おや、誰かと思えば名前様じゃないですか。こんな所で何なさってるんですか」

短髪に黒髪。華奢な体。目を合わせるとこれまたヴォルに負けないようや端正な顔立ち。

『あなたは』

「申し遅れました。私レギュラス・ブラックと申します。以後お見知りおきを」

『私、名前って言うの。よろしくね。あなたも早く家に帰った方がいいわ。ここは冷えるわ。』

「お気づかいありがたく存じます。ですが、我が君から名前様のお世話を」

『あー、ヴォルがね。うん、なるほどね。それなら早く部屋に行こう。ほんとに風邪ひいちゃいそう。』

「これを」

後ろからふわりと両肩になにかが覆いかぶさる。寒いですからね。と笑顔を浮かべるレギュラス・ブラック。シンプルなデザインのブランケットだった。ありがとうとブランケットのスソを掴むとブランケットが落ちないように階段をのぼった。



20160225