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2020/02/15 



勝てば官軍
誰そ彼の地図
もくろみの引っ掻き傷
食める雑草
波打つ背
狙いどころに吊るす花
たとえたとえば漂えば
手のひらの子守唄
彼らはすり抜ける鍵穴
鈴なしの気配
銅貨と一杯
銀貨と食糧
金貨と心臓
毛繕いの史
獣と呼ぶか、獣と呼べるか
その静けさで土を踏め
昏やみにて光る
忍び研ぐ爪先

自由をのぞむ動物どもよ

2020/02/15 



荒野と呼ばない地平線
白の言の葉
夜明けの在る場所
誰がための剣
跪く太陽
旗、しるべ
サライの休符
吐く息より波音
羽根越し
かの灯台は哭いているか
燻るうなぞこ
果てが眩しくなりすぎる前
光る底なし
浅瀬のけもの
暮れの魚影ら
時化、或いは落日
枯れる日に落ちる陽は
振りかざしたのは明日
踏みしめたのは今日
掲げよ心

青くたなびく騎士たちへ

2020/02/15 



其れは真に名の如く
龍の食卓
火の杯
汚れを厭わぬ雨あらし
鯉か龍か、或いは鮭か
灯らずの硝子
瞑った片目で見える熱
腹を満たす炎ばかり
生くるための足枷
その軽口は酒に等しく
その唇は易々と明日を歌え
ただその目だけは今日の晩餐を
焼き切れるほど細い糸
何処まで往こうが明るい街
そういえば翼はないらしい
鉤爪がはじめに掴んだもの
この心臓

今しばらくはおまえの火の粉

2020/02/15 



凍えられない夜の色
あの梟は染まる青
重力ばかりを望んでいたはず
自分の羽すら毟れずに
骨の向こうも脆くない
底まで深まらない闇ならば
そこまで光れない星にでも
歌を、このくだらない約束へ
帰り道に隕石ひとつ墜ちないよう
笑うためにはまばゆい朝陽
たやすい希望
たとえばきみがつくる星座盤
飛べなくてよかった
吐いた息すらいのちの理由
はじまりよりも騒いでほしい
よければ終わりに爪立てて
忘れていたのは明日への返事
青い鳥、ぼくの星を繋いで

ナイト

2020/02/15 



みっつの熱の数え方
影と呼べずに呼ぶ名前
夜明けはきっと果てなき孤独
命の翳りその限り
三つ編みのたてがみ
金の空洞に満たせる歌
代わりの雨しずく
すべてを飼う心の臓
一番星より光る赤
たそがれ、次の火
時の鐘が告げたもの
裸足のジャッカロープ
たったひとつ真実を
いとしい泡沫
生くるすべ

美しい獣

2020/02/15 



その皿割ったの何枚目
食べ残したものをすべて言え
どうでもいい
物忘れの墓場にて
なんて日だ
かぎ付けた狼
いつまでも白いシーツよりは
吹き消されるならおまえがいい
呪わしい過渡期
ひっくり返したところで夜
隠したのはルールの本
食らうパスタに主語を乗せ
楽土はいつもくだらない
たとえば飛んでも驚かないくせ
振り出しに戻る
この世の終わりみたいな空
はじめからはじまりのない部屋
馬鹿々々しい血の誓い
寿命と言うほど

どちらか欠けたら売っちまおう

2020/02/15 



名を呼ぶだけの声
心ばかりは手入れができない
踏みしだけなかった八重むぐら
いのちのために冷えゆく両手
約束もない丘の果てまで
花の棘も魚の毒すら些細と歌える
蝋の羽は溶けてしまった
だから空より深く潜れる
土の中にも海の底にも生きた化石
雨の代わりに砕ける水晶
明日の視界はきっと鮮やか
今に花ひらく心から
つぼみは永遠
曇ればそこから梯子を架ける
あの日の雨のわけを拐って

あなたもわたしもただの人

2020/02/15 



疚しさばかりを暴ける光
宝石ふたつをはじめから
影すら灼くのか
まるで白昼夢みたいだろう
うつろの石を磨いてみせろ
きっと頭蓋の欲求だって
塵の手前に星ひとつ
ダイヤの後ろに散り光
神さまひとつ聞かせておくれ
憎むべきはオパールのまなざし
触れた場所から灰になる
光るものたちの化身
硝子だったら身にも着けよう
透きとおる爪先
映したものから色めくよ
絶えた十字架に祈れるかい
金糸で織れるタペストリー
美しさの定義

その輝きで無色になれたら

2020/02/15 



あの手のひらを憶えている
たとえば揺れる髪の毛がすべて宝石だったなら

地を這うことなど容易かった
きみが庇った太陽
両目で見るにはまばゆい光

白い嵐になりたがる
鳥すら風ではないというのに

右目で光を見た、左目では影を見ていた
その苦さを閉じ込めた水晶
ターコイズ、きみは割れたか
彼が掲げたアパタイト

ほほえみのための重力
羽などないから
その重さで笑えるだろう

いま左腕に光冠
いま両目に金色
走れよきみの太陽まで

自分の霧すら晴らせるさ
あなたはわたしの神さま

だって確かに風だった

2020/02/15 



影にも塗れない光こそ
星座を繋げていつかの王冠
目指す色さえ忘れなければ
きみのための歌だろう
光が満ちた傷痕
塞いぢまえば眩しいだけだ
身ぶり手振りですべてを語って
たとえば心に代われない記憶
たった一人に見える肖像
それにしたって短い永遠
瞳までは兎に似るな
高いとこから探すか望郷
ぜいたくな王子
赤けりゃ恋かい
春には花
甘やかな養分
水晶よりも透いた目は
花の輪だって今は運命
だいじな冠忘れずに

笑えよぼくらのお姫さま
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