望みを繋ぐ剣



また、みんなバラバラになった。
だけど、クラウドがいる方角の手掛かりだけはある。

だからあたしはとにかく走った。

クラウドの元へ。
セフィロスと、戦っているはずのその場所へ。





「あっ…!」





走って走って、やっと金属のぶつかる音を聞いた。
目を凝らせば、そこにあったふたつの人影。

クラウドとセフィロス!

やっぱり戦っていた。
まだ他の皆はいないみたい。

一対一のぶつかり合い。

だけどその時、セフィロスの放った斬撃にクラウドの体が弾き飛ばされた。





「っ!」





息を飲む。
セフィロスは瓦礫を宙に集めて、体制を崩したクラウドの上に落とそうとする。

だからあたしは走った。

剣を構えて、魔力を高めて。
舞うように剣を振りかざし、そのまま一気に刃に魔力を乗せて放った。



パアンッ!!!



魔力を乗せた斬撃は、瓦礫の塊を粉々に弾けさせる。

よし…!
大成功っ!

綺麗に決まった技にちょっとご満悦。

それを見たクラウドはこちらに振り返った。





「えへへっ!あなたの助手、優秀でしょ!」





あたしは驚いているクラウドにそう言って笑った。
するとクラウドの表情も、少しだけ和らいだような気がする。





「…まあな」

「お!やったー!」

「元気だな」

「取り柄ですから!」

「知ってる」





互いに少し笑いながら、そんなやり取りを交わす。
でも勿論気は緩めていない。

自然と歩み寄り、並べた肩。





「頼む」

「喜んで!」





肩を並べて、構えた剣。
短い言葉は信頼の証。

共に見つめる先は、セフィロス。

クラウドが戦うべき相手。
星の未来を脅かす、本当の敵。

あたしはクラウドと駆け出し、ふたりでセフィロスに立ち向かった。





「ナマエ!俺がやる!だからっ」

「了解!」





戦っている最中、少しずつクラウドが気を高めていたのは気が付いていた。

準備は整った。
その合図にあたしは頷く。

そうとなれば、あたしの役目はクラウドが撃ち込む隙を作ること。

あたしは走り出し、そして剣を振るいながら風のマテリアを発動させた。





「ふっとべえッ!!!」





突き上げた剣。
その波に乗せ、発動させたマテリアは風を巻き起こしセフィロスの体を宙へと押し上げる。

そこに待ち構えているのは、クラウド。

クラウドは宙に浮いたセフィロスの体に向かい、思いっきり大剣を振り下ろした。

その力は、ビリッ…とした衝撃は周囲にも伝わるほど。





「やった!?」





技を決め、タン…と軽く傍に着地してくれたクラウドと共にセフィロスの方へ視線を向ける。
今のは結構手応えあったよ!

でも、そうして見たセフィロスもまたクラウドと同じように地にタン…と軽い足で着地した。
そして嫌な気を集めると、その背の片方だけ…大きな漆黒の翼がパサッと広がった。

片翼の、黒い…天使…?

そんな言葉がよぎった直後、セフィロスはこちらに向かい、重力の球のようなものを放ってきた。





「う…っ!」

「ひゃっ…!」





素早い技。
対応しきれず、あたしとクラウドはそれをもろに喰らってしまう。

痛みはない。
だけど、まるで体を張り付けられてしまったかのように、背後の岩に体を押し付けられ、腕一本ですら動かす事が出来なくなってしまった。





「ぐっ…」

「…っ」




あたしは横向きに、クラウドの方に顔が向く形で技を受けていた。

クラウドは仰向け。
同じように身体を動かせない彼の姿がすぐそこにある。

腕を伸ばせば、簡単に届くはずの距離。
だけど今はそれが叶わない。

そしてそんな中、セフィロスは無情に、クラウドの顔にその長い刃を差し向けた。





「クラ…ッ」





助けなきゃ、動いて、動いて…!
そう食いしばって手を伸ばそうとするけど、腕が押し付けられて全然上がってくれない。

動いてえっ…!!!

そう指先が震えたその時、後方から銃撃の音がした。





「え…っ」





それはセフィロスに向かって撃たれた音。
セフィロスは弾を軽く刀でいなすと、一度あたしたちから離れた。

その瞬間、押さえつけられていた力が無くなり、ふっと体が軽くなる。

上半身を起こして振り返れば、そこには大柄な影が映った。





「バレット!」

「派手にやってんな!」





そこにいたのはバレット。
あたしは名前を呼べば、バレットがギミックアームを構えてニッと笑って見せた。





「ナマエ、大丈夫か」

「うん、平気だよ」





上半身を起こしたクラウドはあたしの肩に触れ、支えながら一緒に立ちあがってくれた。

よかった…助かった。
ピンチを脱して少し安堵する。





「バレット、ありがと、ナイスタイミング」

「おうよ!さすが俺様ってなもんだな!」

「行くぞ」





バレットにお礼を言いながら、クラウドの声でセフィロスを見る。

まだ終わってない。
ここからは3人。

バレットも加え、あたしたちは再びセフィロスとぶつかった。





「おい!クラウド、ナマエ、お前らふたりで突っ込め!」

「ああ!ナマエ!」

「わかった!」





生半可な技じゃ埒が明かない。
決めるなら、大技を。

そう判断し、バレットのアシストの元あたしはクラウドと一緒にふたりで一気にセフィロスに踏み込んだ。





「ハァッ!!」

「せやあッ!!」





ふたりで振るった剣。
当たりは悪くなかった。

確かな手ごたえを感じながら、あたしとクラウドはバレットの元へ飛び退く。

そうして見たセフィロスの体はぐらりと揺れていた。





「やったか!?」





バレットの言葉通り、希望を見る。

倒せた!?
心に浮かんだそんな期待。

するとその時、セフィロスの背後からいつものフィーラーが飛び出してこちらに向かってきた。

でも、そのフィーラーたちはあたしたちに届かず消える。
消し去ったのは、どこからか放たれた炎がフィーラーたちを焼き尽くしたから。

あたしたちは振り向く。
そこにあったのは、花咲くようなふたつの笑顔。





「エアリス!ティファ!」





名前を呼べば、ふたりは軽く手を振ってくれた。
そして駆け寄ってくる。

するとそれに合わせて、もうひとつ、あたしたちの傍に軽く着地した足音があった。





「レッド!」

「おせえぞ!」





足元で揺れたのは赤い毛。
あたしとバレットの声にレッドはフンと軽く笑ってくれる。

これで、全員揃った!

それならもうこれが最後だと、皆の気持ちが一つになったように思う。
あたしたちは全員で武器を構え、セフィロスを見据えた。





「あと、もう少し!皆で望み、叶えよう!」





エアリスの声が響く。

そう、あと少し!
間違いないと高まった気持ちに、あたしたちは駆け出す。

セフィロスはフィーラーを放ってきた。

だから蹴散らした。
近づけないように、道を開くように。

その道を通り抜けるのは、勿論クラウド。





「「クラウド!」」

「行け!」

「行っけえ!」





ティファとエアリスが彼の名を呼び、レッドとバレットが行けと叫ぶ。
皆が繋いだ一本道を、クラウドは真っ直ぐ、駆け抜けていく。





「クラウドーッ!!!」





あたしも叫んだ。
喉がはち切れそうなくらいに。

頑張って、倒して、あなたを信じてる。

そんな想いを乗せる様に、ただ。

そしてクラウドは剣を思いっきり、渾身の力でセフィロスへと落とす。
その瞬間、辺りにはぱあっと光が満ち、眩く白く…世界を包んだ。


To be continued


ここのバトルって、ざっくり言うとフィーラー戦でたくさん活躍させた順で加勢してくれるんですよね。(最初に助けてくれるのはティファかエアリスのどちらかでバレットは一番活躍してたとしても最初は来てくれない。)

3人目、誰にしようか悩んだんですけど、まあバレットだなって。(笑)
ティファとエアリスは平等に扱いたい派。


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