きっと祝福するだろう



エアリスに籠を持たされたあたしとクラウドは彼女の家の傍にある花畑で花を摘んで集めた。
リーフハウスからの依頼は結構多めにって事だったから、3つの籠いっぱいになるくらいには集めた。まさにたっぷりである。





「急がなくていいから、優しく運んでね」

「はーい」

「俺には向かない仕事だ」

「そんなことないよ。人気、出ると思うな。ね、ナマエも思うでしょ?」

「うん。結構似合ってると思う!あたしだったら買うし!」

「…それは物好きだな」

「なんで!」





お花がいっぱいに詰まった籠と背中の大きな剣は確かにちぐはぐかな?
でも案外悪くないと思う。

なんだろう。イケメン効果…?
いや、普段見ててクラウドって別に強面とかじゃないし基本的に優しい顔してるからこういうほんわかした感じも合うんじゃなかろうかと。

だから別に物好きじゃないですからってね!

そんなこんなで、あたしたちはリーフハウスへとお花を届けに行った。





「俺はここで待つ」

「うん、わかった」





リーフハウスに着くと、扉を開けたエアリスにクラウドは籠を預けた。
エアリスも待つこと了承し籠を受け取る。





「ナマエは?どうする?」

「うーん、あたしも待ってようかな?」

「そう?」





あたしも籠をエアリスに手渡した。

まあ、部外者であることは変わりないしね。
もしかしたら話とかもするかもしれないし、それならいない方がいいだろう。

クラウドをひとりで待ちぼうけさせるよりも、ふたりの方がエアリスを急かす事にもならないし。

それにあたし自身、クラウドに聞きたい事もあったから。





「ふたりなら平気かな?でも、退屈でしょ。街、見て来たら?」





エアリスはそう言い残すと微笑んで、パタンと扉を閉めた。
さて、ではここからしばらくどうしましょう。




「うーん、じゃあどうしようかな?」

「街、行ってみるか?」

「うん。おススメもされたし行ってみようか!」





クラウドから街へ行くかと言ってくれて、なんだか嬉しくなる。
だってそれは一緒にいるのを許してくれてるって事だから。

こうしてあたし達はエアリスに言われた通り街の方に行ってみることにした。





「でもちょうど良かった。あたし、クラウドに聞きたい事あったから」

「聞きたい事?」





人通りの少ない路地に入る。
そのタイミングを見計らって、あたしはクラウドに気になっていたことを聞くことにした。

それは、エアリスの前ではやっぱりちょっと避けてた話だ。





「ね、作戦、成功したんだよね?なんで教会に落ちてきたの?それと、一緒に行ったふたりのこと」

「ああ…」





エアリスの前や人目を避けて、その上で聞きたかった話。
それは作戦の事、クラウドが落ちてきた理由やティファやバレットの事だ。

クラウドは納得したように頷いた。

そして、簡潔に話してくれた。





「…爆破自体は、まあ…此処に来るまでも見てるしな。ご覧の通りだ」

「うん…。でも、何かあった?」

「…神羅は爆破を止める気はなさそうだった。むしろ利用するつもりの様な、そんな印象を受けた」

「え…でも、さっきのニュース…」

「ああ…いや、まあこの辺りは良いな…。正直その辺りは俺も詳しくは説明できそうにない。ただ、最後に神羅の最新鋭の機動兵の相手をすることになって、破壊は出来たんだが…その時の爆発で俺の足元が崩れてな。で、そのまま落下した」

「えっ!?あ…だから落ちてきたと」

「ああ。その先が、あの教会だったみたいだな」

「うわあ…こわ。いや落ちてきた時点でやばいのはわかってたけど…ねえ、身体、本当にもう大丈夫?無理してない?」

「別に。なんともない」

「本当?」

「なんでそんな疑うんだ」

「疑うって言うか…まあ、ビックリしたから。しばらく目、開けてくれなかったし…心配したもん」





あの時、ゾッとしたのを思い出した。
背筋が冷たくなって、血の気が引いて…目頭が熱くなった。

いや、本当…わりともうちょいで涙出たかもしれない。

すると、クラウドが目を丸くした。





「心配…?」

「へ?そこ疑問?当たり前じゃん。なんで?」

「…いや」





何を当然の事を聞いてくるのか。

もしクラウドが目を覚まさなかったら…。
そんなの、考えるだけで恐ろしい!

まあ、なんともないならいいんだけどね…。
一応ケアルは掛けてたし、戦ってる様子とか見てても引っかかってる感じも無さそうだから。

本当、お花がクッション代わりになってくれたのは効果があったんだろう。
ありがとうお花さん達…やっぱり大好きだお花。

でもま、じゃあ、気になる事はあとひとつ。





「あとは、えっと、バレットとティファは?クラウドそんなに焦ってなさそうだから、平気なのかなとは思ってたんだけど…」

「ああ。魔晄炉も爆破寸前だったからな…、逃がしたよ。何事もなければもう店に戻ってるだろうな」

「そっか。じゃあむしろ向こうが心配してるね」

「それはどうだろうな」

「いやしてるでしょ!ティファは絶対!バレットもなんだかんだ結構気に掛けてると思うよ」





爆発で魔晄炉から落下…。そんな様子を見ていたなら。

ティファとか絶対心配してるでしょ!可哀想に…。
バレットだって、なんか話聞いてる分にはそんなに相性良くなさそうだけど、面倒見の良い人だからきっと心配してるはず。

今日はエアリスの家でお世話になるって話になっちゃってるから、戻るのは多分明日だ。
出来るだけ早く戻って、安心させてあげられたらいいな。

まあとりあえず、これであたしが聞きたかったことは大方聞けた。

そうすると今度はクラウドの方があたしに尋ねてきた。





「あんたは?なんで伍番街にいるんだ?」

「えっ?ああ、んーと…散歩?」

「は?」





何故あたしがここにいるか。
まあそりゃ気になるかとは思う。

でも、素直に散歩と言ったらきょとんとされた。

別に間違ったこといったわけじゃないんだけどね。

だからあたしはもう少しちゃんと話した。





「えーっと昨日さ、モンスター討伐の話、振って貰ったってこと言ったよね?」

「ああ」

「特にすることも無かったからさ、ひとりでも支障無さそうなやつをちょっと片付けてたんだよね。で、それが伍番街の近くだったから来てみました〜みたいな?」





そう話せばクラウドは「ふうん…」と、そんな感じで納得はしたようだった。

とりあえずこれでお互い、気になっていたことは確認出来ただろうか。

そうしてまたゆっくり、スラムを歩き出す。
ふたりで他愛なく話しながらぶらぶらと。

するとその時、どこからか「あっ」という声がした。

ん?とふたりで見てみれば、そこには見覚えのある男の子がひとり立っていた。





「お前は…」

「えーっと、確かムギ!」





記憶から名前を探そうとしていたクラウドより先に答えてみる。
それはさっき屋根の上にいて、エアリスが紹介してくれた男の子、ムギだった。





「エアリスは?」

「り、リーフハウス」





エアリスの所在を聞いてきたムギに咄嗟に答えるクラウド。

ああ、確かに似た者同士かも。
この必要最低限の会話よ…。なんかちょっと面白かった。

でもそれを聞いたムギはすぐにその場から駆けて行った。

なんかちょっと慌ててる?





「なにか、あったのかな?」

「みたいだな」

「ちょっと行ってみる?」

「ああ」





エアリスに何かを知らせに行ったのなら、手伝えることもあるかも。
そう思ったあたしたちは再びリーフハウスへと戻る事にした。





「エアリス〜」

「なにか、あったのか?」





戻るとちょうどリーフハウスの庭先でエアリスとムギが話していた。
声を掛ければふたりは困ったように振り向いた。





「うん…。子供たちの遊び場で、ちょっとね」

「遊び場に、黒い服の人が入ってきて、怖がった子が外に出ちゃったんだ」





ムギが教えてくれた。

黒い服…。
それを聞いてクラウドとあたしの頭に真っ先に浮かんだのは、やっぱり今は黒スーツだ。





「タークスか?」

「あの強面サングラススキンヘッド?」

「ナマエそのあだ名…。でも、ううん、違うみたい」





特徴全部詰め込みましたみたいなあだ名で言ったらエアリスには笑われた。
だって名前知らないもーん。

さっき見かけた赤髪スーツじゃない方のタークス。

雰囲気怖そうだったから子供たちも逃げるかも!
とか思ったけどどうやらそれは違うらしい。





「ボロボロのマントを着て、いつも街の中をふらふら歩いてる人。ビョーキなんだって。あと、腕に数字が書いてあるんだ」





ムギが詳しく教えてくれた特徴。
それを聞いてぱっと思い浮かぶ人がいた。

…それって、マルカートさん…?
頭に浮かんだのは天望荘の2階に住むあの人のこと。

恐らくクラウドもマルカートさんが浮かんだのだろう。
だからあたし達は自然と顔を合わせた。

でも、マルカートさんがひとりでここまで来られるとは正直思えないんだけど…。





「心配だから、私、行くね」

「ナマエ」

「うん」





様子を見に行くと言ったエアリスの言葉を聞き、クラウドに声を掛けられる。
あたしは頷いた。それは異存なしの意味だ。





「俺たちも行こう。似た男を知っている」

「うん、エアリス、あたしたちも一緒に行く」

「うん!」





同行すると申し出ればエアリスは嬉しそうに頷いてくれた。
こうしてあたしたちはムギに案内してもらい、子供達の遊び場に向かった。

そこはスラムにある狭い通路を通った先の子供たちの秘密基地だった。

秘密基地とかいいな!ちょっと心躍る感じ!
エアリスによると普段は子供たちしか入れない場所なのだとか。

ただ、今はそれどころじゃないから入れて貰えることに。





「ムギ!」

「帰ってきた!」

「エアリスを連れて来た!」

「もう大丈夫!私たちに任せて!」





中に入るとムギの友達であろう子供たちがたくさんいて、彼の事を迎えた。
そしてエアリスが安心させるように笑顔を見せるけど、子供たちの表情は晴れない。





「でも、モンスターが出るんだ…」

「安心して。この人たち、すっごく強いんだから」

「元、ソルジャーだ」

「あたしはソルジャーじゃないけど、腕に自信はあるよ〜」





エアリスがあたしとクラウドを紹介してくれたから、それに応えてあたしも笑って見せた。

クラウドは、まあ多分子供ってそんなに得意じゃないんだろうなと思う。
別に邪険にするわけではないけど、どうしたらいいかわからなそうと言うか。

マリンの時、そんな感じっぽかったから。





「黒服の男は?」

「わかんない。いつの間にか消えちゃって」





クラウドが黒服の男について尋ねるとムギが教えてくれる。
確かに見た感じ、もうここにそれらしい人はいなさそう。

まあ、それならそれでいい。
今優先すべきは怖がって逃げていってしまったという子供たち。
戻ってこないところを見ると、なにかあったんだろうか。

あたしたちはまたムギに案内してもらい、秘密基地の奥にある壁の穴を教えてもらった。

この先にはモンスターが出るらしい。
「気を付けてね」というムギの言葉を受け、あたしたちはその穴を潜った。





「みんな、どこかな」

「おーい、いたら返事してー!…ってこんなとこで声に気付けたら戻ってこれるよね。もうちょっと奥行っちゃったのかな」

「子供の行動は予想できないからな。探し回るしかない」

「うん、急がなくちゃ」





3人で隈なく辺りを見渡しながら進んで行く。
ムギの言っていた通り、確かにここら辺はモンスターがうろちょろしていた。

本当、早く見つけてあげないと。





「あ!あそこ!」





その時、エアリスが何かを見つけたらしく指を差してあたしたちを呼んだ。

エアリスが指差したのは水辺。
そこには足場が崩れてしまったのか、ぽつんと取り残された瓦礫があった。

その上に乗っている、ふたりの子供の姿。

陸の方には子供たちを狙うかのようにうろちょろとしているモンスターが数匹。

モンスターたちも水の中には入ろうとしないようだから、今は一先ず事なきを得てるって感じかな。

クラウドは「刺激しない方がいい」と言った。
確かに子供たちはあの場から動けないだろうし、万が一モンスターたちが飛び移りでもしたら大変だ。

あたしたちは急いでその場に駆けつけた。





「エアリス!」

「お姉ちゃん!」

「待ってて!」





モンスターのいる場所まで辿りつけば、エアリスの姿を見た子供たちが声を上げた。

男の子ひとり、女の子ひとりか。
エアリスは「大丈夫だから!」とふたりに声を掛ける。

その隙にあたしとクラウドはモンスターを片付けた。
うん、これくらいなら朝飯前!

とりあえず、これでモンスターに襲われる心配はなくなった。

さて、じゃあ次の問題は水辺の瓦礫の上にいる子供たちをどう救うかだ。





「待って!」





エアリスが近づこうとすると、男の子が静止を掛けた。

その理由はすぐに分かった。
エアリスが端に近付いた瞬間、その足場がボロボロと崩れ落ちてしまったから。





「あちこち崩れやすくなってるの!」

「きっと魔晄炉が爆発したせいだよ!」





子供たちの言葉で納得した。

成る程…。だから水辺の上に取り残されてしまってたわけか。
渡ったはいいものの、足場が崩れてしまったと。

でも、そうなるとどう助ければいいだろう。





「この水、深いのかな?飛び移るのは出来そうだけど…抱えて飛び移るのは、あたしちょっと無理かも…」

「俺が行く」





濁って深さのわからない水を見つめていると、クラウドがそう言った。

えっ、と思ったその直後。
彼はいとも簡単に子供たちのいる瓦礫まで飛び移ってみせた。

そして「行くぞ」と声を掛けると、ふたりをそれぞれ小脇に抱えてまたも軽々と戻ってきた。





「おお、お見事!」





あたしは思わずパチパチと拍手した。

いやだってあまりに軽々とやってのけるんだもん。
いやまじで凄いなクラウド!?





「ありがとう」

「かっこいい…」





男の子はお礼を言い、女の子は見惚れるようにクラウドを見上げていた。

わかる、わかるぞお嬢ちゃん!!
あれはカッコいいよね!すげえわかる!!

あたしはお嬢ちゃんに同意しかなかった。

クラウドは照れたのかちょっと反応に困ってたけど。





「じゃあ、戻ろっか」





エアリスはクスッと笑いながらそう言う。

ムギたちも心配してるだろうし、早く戻って無事を知らせてあげないとね。

こうしてあたしたちは見つけた子供たちを連れて秘密基地に戻る事にした。

その間クラウドはふたりに大人気だった。

どうしてそんなに強いの。
自分もソルジャーになりたい。

キラキラした羨望の眼差しを向けられる向けられる。

でもやっぱり、その気持ちはあたしもよくわかった。

強くてカッコよくて優しくて。
あたしもクラウドに憧れの気持ちって持ってるよなあと思うから。





「えへへっ」

「こっちこっち〜!」





子供たちは楽しそうに駆けて行く。
秘密基地が近付いて来て、あたしたちも追い越して笑いながら。

するとその時、突然クラウドが痛みを感じたみたいに頭を押さえた。





「うっ…」





…また、頭痛?
クラウドは前にも頭を押さえてる事があった。

足をゆっくりと止め、頭を抱えたまま顔を歪めるクラウドに大丈夫と声を掛けようとする。

でもその時、クラウドは駆けていく女の子の背中を見て呟いた。





「ティファ……」





それは、あたしもよく知る彼女の名前。

…ティファ…?

あたしは掛けようとした声が引っ込んだ。
するとそれに代わる様に彼女の事を知らないエアリスが首を傾げて尋ねた。





「ティファ?」





エアリスはクラウドにそっと近づき、顔を覗きこむように見る。





「どうしたの?」

「いや…」





エアリスの問いにクラウドは首を振った。
頭を押さえていた手を下ろし、何でも無いと言うかのように。

でも多分何でも無いわけは、無いわけで。





「ティファって、クラウドの恋人?」





エアリスは重ねて尋ねた。

恋人…。
その単語を聞いた時、ちょっと胸がどきりとした。

いや、あれ?もしかしてそうなのかな…とか、ちょっと思って。





「違う」





でも、クラウドはすぐ否定した。





「ムキになってる」

「そういうんじゃない」





エアリスの指摘にクラウドは再び首を振る。
あたしは黙ってそれを聞いてた。

いや、まあ…たった今そうなのかなとか思っておいてアレだけど、確かにそういうんじゃないんだろう。
もしそうなのだとしたら、ティファはちゃんとそう紹介してくれたと思うから。

ただ、百の自信が無かったから、一瞬そうなのかなって思っただけ。

だけど。





「…でも、説明できそうにない」





クラウドはそう言った。
その答えにエアリスはただ「そっか」と頷いた。

クラウドと、ティファの関係…。
あたしは、幼馴染みだって聞いてる。同郷の、子供の頃からの知り合い。
それは嘘などでは無い、間違いのない事実だろう。

でも、内側にある気持ちは、どうなんだろう。

クラウドはティファのこと、ティファはクラウドのこと、どう思ってるのかな?

多分、今まで思ったことはあった気がする。
だけど聞いた事は無かった。

もしも、そうだったとしたなら?





「ナマエ…?」

「えっ」





名前を呼ばれた。クラウドの声。
ハッとして顔をあげれば、歩き出していたクラウドとエアリスが振り返って此方を見てる。





「ナマエ?どうしたの?考え事?」

「どうかしたのか…?」





おおと…なんか考え込んでぼーっとしてたらしい。

クラウドが少し引き返して、前まで来てくれた。
じっと見る。青い目。綺麗だなって思う。

あたしは首を横に振った。





「いや、どうもしないよ。ごめん、うん、ちょっと考え事?それでぼーっとしてた!」

「本当か?気分が悪いとか、ないよな?」

「ないない。全然ない。ていうかそれはむしろこっちの台詞では?クラウド、頭大丈夫?」

「…だから、その聞き方はやめてくれ」

「あははっ!」





なんか、いつかもしたやり取り。
だから最初に言ってきたのはクラウドだってば。
可笑しくなってあたしは笑った。

でも、もう頭痛は大丈夫そうだ。





「うん。平気なら良かった!」

「ああ…」

「でもそっか〜。クラウドにとってティファは特別なんだね」

「え…」





笑みを向けてそう言う。
するとクラウドは少し困ったような顔をした。





「それは…そうだが、でも、本当にそういうんじゃない」

「ん?うん、もし恋人だったらティファもそう教えてくれただろうから、とりあえず違うのはわかってるよ」

「…とりあえずって」

「ん?」

「いや…だから」

「あ、ナマエも知り合いの人なの?」

「うん、知り合い!ていうか友達!仲良しだよー!」





エアリスに聞かれたから、あたしもティファはよく知ってるよと答えた。

クラウドにとってティファは特別な相手。
それは、間違いないのだろう。

幼馴染み…でも、それだけじゃなくて、また少しちょっと違う何かがありそうと言うか。
その意味は、レンアイカンジョウと呼べるものなのか、本当に違うのか本人が気が付いてないだけなのか、その辺はよくわかんないけど。





「ナマエ…」

「うん?」

「だから、その…」

「クラウド?」





するとクラウドあたしを見て、何やら言葉に悩むようにまごまごとしていた。

うん?どうしたどうした?
するとエアリスがくすっと笑った。





「クラウド。ナマエに誤解されたくないなら、ちゃんと言った方がいいよ?」

「なっ…」




あたしに誤解…。
エアリスにそう言われ、なぜかぎょっとするクラウド。
あたしは軽く首を傾げた。





「誤解なんてしてないと思うけど、でもしたところで別に言いふらしたりしないよ?あたし」

「………。」

「…ナマエ、それわざと?」

「え」





エアリスがじとっと目を細めてみてきた。ええっ!?

いや、エアリスの言ってる意味はわかりますよ?
そこまでアッホじゃないよ?

でもそういう意味なわけないじゃないか。
それは自惚れも良いところだろ!

それにこっちにはジェシーとの衝撃現場見ちゃったの前例がありますから!
大丈夫!あたし口堅い!ってアレですよ。まあ堅いから今はそれ言わないけどね。

……ていうかなんだけど。

そもそもティファだけじゃなくて、エアリスだってどうなのだろう。

…エアリスは、クラウドのことどう思ってるのかな。
まだ出会ったばかりだけど、そのやり取りは楽しそうで。

クラウドだってエアリスとはよく話すし、相性は…そう悪くないように見えるんだけど。並んでて、割とお似合いと言うか。

うーん…あと、ジェシーだってそうだし。

まあでも…うん。誰にしても、あたしから見ると大好きな相手なわけで。
多分、誰かそうなったとしたならば…あたしはきっと「良かったね」って言うのだろう。



To be continue


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