いつの日か


「じゃあ、またカームでな」

「また後で、ね!」

「気を付けて!」





そう言って手を振り先にミッドガルを発っていったのはバレット、ティファ、エアリスの三人だ。

ミッドガルから出て、外の世界を旅することになった一行。
ぞろぞろ6人で歩いても仕方がないと2つのチームに分かれることになったのはゲームでも御馴染みだ。

あたしはひらひらと笑顔で3人に手を振り返した。
となれば、あたしが組むのはここに残ったメンバーと言う事になる。





「俺たちも行くか…」





そう言って歩き出したのは一行のリーダーとなったクラウド。





「ああ」

「はーい」





そして軽く返事をし、その後ろに続くのはあたしとレッドXIIIだった。





「なに…?異世界…?」

「そ。あたし、この世界の人間じゃないの」

「…神羅ビルで言っていた時は何の冗談かと思ったが、本気で言っていたのか…」





カームに向かい歩き出した道すがら、あたしはレッドXIIIになぜ色んなことを知っているのかの説明をした。

レッドXIIIとは説明したいから一緒にカームに行こうと話をし、チーム編成をしたクラウドにもそれを告げてその要望をクラウドも聞き入れてくれた。

まあ、説明したところで当然信じがたいってレッドXIIは目を丸くしてたけどね。





「…それで、私たちが君の世界では物語の登場人物だと」

「イエス。ユーアー登場人物」

「…夢物語だな」

「だよね。あたしもそう思う」





真っ赤な勇ましい人語を操る獣さん、レッドXIIIとお喋りしてる。
いや本当、今の状況だけ切り取ってもすんごい状況だわあ〜ってのはひしひしと感じてるよね。

すると、一通りの話を聞いたレッドXIIIはそれを確認するように今共に歩くクラウドにへと話を振った。





「…クラウド。君は、この話を信じているのか」

「…正直、今もよくわからない部分はある。けど、俺はこいつがこの世界に現れた瞬間を見てるからな…。それに此処に来るまでにも色々あった」

「つまり、比較的信じている…と言う事か」

「……。」





クラウドは肯定も否定もしなかった。
いやでも否定しないって言うのがもう結構答えみたいな感じではあるよね。

だからクラウドのその反応にあたしは十分満足だったりする。





「ふっふふ〜」

「…何笑ってるんだよ」

「いいえ〜!」





にっこにこ笑ったらそんな風にちょっと睨まれたけどね!

ところで、クラウドはどうしてこのパーティ構成にしたんだろう。

いやレッドXIIIはいいんだけど、クラウドがこっちの理由っていうか。
ほら、ゲームだとティファとエアリス選ぶとさ、バレットがやると思ったぜ的なこと言うじゃん?確か。

ふっと抱いたそんな疑問だけど、それはクラウドの次の言葉ですぐに解決した。





「なあ、なんでルーファウスにあんなこと言ったんだ?」

「あんなこと?」





クラウドはあたしにそう尋ねてきた。

あんなこと、とは。
よくわからなくて、あたしは首を傾げた。





「言っただろ。異世界人、とか」

「んー?あー、あれ?べっつに。なんとなく」





言っているのは神羅ビルでルーファウスと対峙した時にあたしが自分を「異世界人」だとばらしたことだった。

皆が自分の肩書を答えていく中、あたしは自分の肩書って何だと考えてパッと思い浮かんだものをそのまま口にした。
ま、元ソルジャーだとかアバランチだとか、皆がこうサッと答えていく中でなかなかの浮きっぷりだった自覚はある。

でもクラウドはその答えにあまり納得していないようだった。





「…本当か?」

「本当かとは」

「………。」

「おお…なんだなんだ!その疑いのまなざしは!」

「…いや」





なんか本当、物凄く納得して無さそうな顔だ。

何がそんなに彼の中に引っかかってるんでしょう。

うーん…まあ、しいていうのなら…なあ。
あたしはあの時浮かんだ考えをぼんやり辿ってみた。





「んー…別に、本当にそこまで深い意味はないよー。まあ、どんな反応するかなってのは見たかったのかも。ふっつーにスルーされたけど」

「そりゃするだろ」

「ふふ!だね!でもさ、あの人ってこの世界のトップみたいなもんじゃない?てことは情報とかもきっと色々持ってて、異世界って言葉に何か反応見せるかなってのはね、あったかな。そしたら元の世界に帰る方法の手掛かりに繋がるかもだし」





そう。しいていうならそんな感じだ。

まあ本当にノリが大部分なんだけど、そんな期待も淡く淡く…ね!
流石に今神羅側に未来がわかるとかそんなことまで口にしちゃヤバイかなとは思うけど、そのくらいならいいでしょうって。

すると、クラウドはそれで少し納得をしたようだった。





「…やっぱり考えがあったんじゃないか」

「そこまで大層なもんじゃないくない?ほとんどおふざけ。なんとなくのお遊び心が大半だもん」

「どうだか…」





納得はしてくれたけど、今度はなんがか別の意味で疑いの眼差しを向けられた。

うえーい。信用なーい。
ま、わりと適当だけど、その辺の分別はつけてるさってね。

今回に関しては、特にルーファウスは異世界というものに今のところ関心は無さそうだったけどね。
だからまあ、神羅側にはそう言った情報は無い…って捉えていいのだろう。

しいていうなら後は宝条博士とかくらい…?
いやでもあの人は正直あんまり関わり合い持ちたくないけど。

まあとにかく期待した答えは、無かったってこと。
対して期待してなかったけどね。





「でも、そうか。帰る方法…か」

「ん?」





するとその時、クラウドは何かを考え込むようにちょっと難しい顔をしてぽつりと小さくそう呟いた。
あたしは適当に首を傾げた。





「そりゃまあいつかは帰るし。って言ってもその方法の手掛かりすらわからないけど、いつかはね」

「そうか」

「クラウドだって解放されたいでしょ」






皆、それぞれこの旅に何かしらの目的を抱いている。

あたしにとってはそれは元の世界に帰る方法を探すことに当たるだろう。

まだまだ観てみたいものは沢山あるから、すぐに帰りたいっていうわけでもないけど、最終的にはそこが目標だ。

クラウドに助けてもらうのも、その目処がつくまで。
だからクラウドにとってもそれは願ったり叶ったりなことなはずだ。






「………。」

「クラウド?」

「……そうだな」

「あっは、素直〜!まぁ当分はしがみついちゃうけどね!」





そう。でも、まだまだ。
あたしはこの世界を楽しみたい。

折角なら会ってみたい人も、見てみたいところも沢山あるから。

こういう時って、普通なら一刻も早く元の世界に帰りたいって思う物なのかな?

勿論大変な事も山ほどある。
でも、大好きな世界だし。

なーんて思うあたしは、やっぱわりと図太いのかもな〜なんて。

ちょっと、他人事みたいに考えた。



To be continued

prev next top



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -