ヴァン

「ねえ、ヴァンってさあ、本当空気読めないよね」

「なんだよ、それ」





指摘してやると、彼は首を傾げた。
確実に頭にハテナマークが浮かんでいる事だろう。





「ていうか、空気読めないってヴァンのためにある言葉だと思うの」

「いや、だからなんだって、それ」





彼の癖、頭の後ろで手を組む仕草。
そのまま変わらず「わけわかんないぞ」って顔される。





「だってさ、さっきのなによ」

「さっきの?」

「フランって何歳?って…。女の人になんて質問してんのよ」

「女って…じゃあ、いくつ?」





ヴァンはあたしを指差してくる。

指差すな!
ぱし、っと指を払いのける。





「あんたと同い年よ!知ってんでしょ!」

「普通に答えてるじゃん」

「いや、そーゆー意味じゃないから!」

「じゃあどういう意味だよ?」

「だからー…、ていうかそもそもあのタイミングで聞く質問じゃ無いでしょ絶対!」

「そうか?」




そうか?じゃないよ。まったく。

パンネロはともかく、ラーサーにも注意されてたじゃないの!
アーシェなんて呆れてものが言えないわ、みたいな顔してたからね?





「だってさ、気にならないか?」

「…そ、れは」





マジな顔で聞かれて言葉に詰まる。

いや、そりゃ50年どーこーって言われりゃ、そりゃ…ちょっとは頭に過ぎるよ。

でも、でもさ…。





「なんだ。お前もやっぱ気になるんじゃん」

「うっ…だからってあれはタブーだってば!そーゆーのは本人がいない時とかさ!」

「本人に聞かなきゃわかんないだろ?」

「いや、だから…」

「実際、何歳だと思う?」

「……50年前がどうのって言ってるんだから、それ以上なんじゃないの」

「やっぱそうだよなー」





あ、やばい…。

注意のつもりがヴァンのペースにのまれてきてる…!
ミイラ取りがミイラにされてる…!!!





「気になるよなあ…」

「…そうだね」





ああ、駄目だ…。負けた…。
完全にのまれた…。

まあ…これでこそヴァンか…。
空気読めたらヴァンじゃないよね…。





「まあ…あたしはヴァンのそーゆーとこ好きだけどね…」

「ん?なんか言った?」

「…なんにも」


END

何歳?って確かに思うと思う。まさか代弁してくれるとは(笑)
こんなヴァンが私は大好きだ!←

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