クラウド
あたしたちが今、立って、生きているこの星。
この星に近づきすぎている、もうひとつの別の星。
あたしはそんな星、メテオをハイウィンドからクラウドとふたりで見上げていた。
「よくさあ、明日人類が滅亡するとしたら何する?みたいなもしもの話するじゃん?」
「ああ」
「気楽なもんだよねえ…そんな冗談言えてた時ってさ」
はああ…とでっかい溜め息をついた。
メテオが降ってきたら、あたしたちはこの星ごと完全にお陀仏だ。
どっかいけ、メテオの阿呆。どんなに睨んでもメテオは逸らすことなくはこっちを向いたままだけど。
「…そんな冗談言えるって、そんな日常ってシアワセだよねえ…」
ぽつぽつ呟く。
するとクラウドはあたしの顔をじっと見て、そしてこう聞いてきた。
「不安、なのか?」
「ん…?」
「いや、そんなにマイナスなこと言うの珍しいと思って…」
「…。」
「…悪い。不安だよな…こんな状況になったら」
クラウドは後悔したような、心底申し訳なさそうな顔をする。
それを見てあたしはパチン!と自分の頬を叩いた。
「ううん、ごめん。こんな時こそポジティブじゃなきゃ駄目だよね」
「無理しなくてもいいんだぞ…?」
「してないよ。大丈夫!ていうかあんなもん降ってきたらもうクラウドに会えなくなっちゃう。そんなの絶対御免だっての」
にっこり笑ってそう言うと、クラウドはどこか照れたように目を泳がせた。
でもすぐに、そっと小さくこう返してくれた。
「…ああ。俺も御免、だな」
その言葉が嬉しくて。
うん。会えなくなるなんて絶対嫌だから。
「ねえ、メテオを回避したら何しよっか」
それはもしもじゃない。
未来の話をしよう。
END
北の大空洞突入前日くらい…かな。
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