「エースー!」





魔導院に帰ってきたあたしは、すぐさまエースの元に向かった。

本当、改めて実感する。
あたしって、本当にエースの事が好きなんだな…なんて。

見つけたさらさらの金色に、思わず頬が緩んだ。





「ああ、ナマエ…よく、帰ってきたな。…おかえり」

「うん!ただいま!」





思わず満面の笑みになる。
エースも、小さく笑みを返してくれた。

でも…どこか変…?





「……。」

「エース…?どうかしたの?なにかあった?」





少し逸らし、目を伏せた彼。
尋ねて見ると、首を振る。





「いや…どうもしないよ」

「…そう?」

「ああ。何でも無い。ナマエこそ、怪我とかしなかったか?」

「大丈夫。無事に帰ってきたら、お祝いしてくれるって言ったもんね?それならちゃんと帰って来るに決まってるよ」

「そうか…、うん、そうだな」

「ね!」

「…まあ、とりあえずはチョコボのところに行くか?卵の様子とか、気になってただろ?」

「ふふ、よくわかってるね。うん、じゃあまず牧場行こう!」





こうして、あたしたちはまずいつもの通り、チョコボ牧場に向かった。

でも、エースは笑ってくれるけど、その表情はどこか寂しそうな印象を受ける。
眉を下げて、小さく笑う彼…。それだけが少し、気掛かりだった。

何でも無いと言われると、それ以上聞く事も出来なくて。
だからあたしは、いつも通りに笑う事に努めた。

まあ…努めるも何も、嬉しいから自然となんだけど。

それに、もともとそんなに人が多い空間じゃない牧場だけど、今日は文字通りのふたりきりだった。これはもうあたし的にはもうガッツポーズしちゃう勢いでしかない。





「わーい、貸し切りだー!」

「本当だ、誰もいないな」

「チョコボ可愛いのに、本当、軍の消耗品とか言っちゃう人の気がしれないな。絶対人生損してるよね」

「まあ、僕たちが少数派だけどな」

「でも損してるって。けど今回に限り、おかげでエースとふたりきりだから、何も言うまいかな」

「…ナマエ」





そう言って笑って、あたしはチョコボの元に駆けだした。

今の時間なら、おやつあげても良いかな。
あたしも食べたばっかりだし、チョコボ達もおやつタイムにしてあげよう。

そんなことを思いながら、餌の用意をしていく。

お皿に入れて置いてあげれば、チョコボ達は嬉しそうに集まってきた。





「…なあ、ナマエ」

「んー?なあに、エース」





顔をほころばせ、おやつにありつくチョコボ達を見ていると、エースが隣に来てくれた。

でも、視線の先はチョコボじゃなくてあたしを見てる。
目が合って、あたしは自然と笑って見せた。

それにしても、何だがエース、真面目な顔してる。
そんな顔も、あたしは見られて嬉しい限りではあるけれど。





「エース?」

「…その、」

「?」

「ちょっと…変な事聞いても良いか?」

「うん、なに?」





きちんと向き直り、笑いかける。

エースはあたしをじっと見つめている。
そして少し息を置いて、ゆっくりと尋ねてきた。





「その…ナマエは…」

「うん?」

「………ナマエは…僕の、どこを好きになってくれたんだ…?」

「へっ?」





それは、あまりに予想外な質問だった。
だって本当に突然だったから。

あたしは思わず目を丸くして、変な声を出した。



To be continued
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