愛して傷ついて 空が晴れた




蓮二くんと付き合いはじめたのは4年前。だけどその2年前からずっと好きだった。


中3で同じクラスになって、2回目の席替えで隣になって、隣になって3日目の朝読書で同じ本を読んでることに気づいて、それからよく話すようになった。

確か、あの本……タイトルが思い出せない。

蓮二くんがその本を読んでいるのを知って、話すきっかけになればいいなと思って買って読んでいるふりをしていただけに過ぎないから内容もタイトルも覚えてなくて当たり前なのかもしれない。

そう、クラス替えの時に蓮二くんを見て一目惚れだった。
蓮二くんが美しくて、私は蓮二くんが欲しかった。
蓮二くんの大好きな本よりも蓮二くんが大好きで蓮二くんが欲しいかった。


日を重ねて仲の良い男女になり付き合うことになれたのは高2から高3の間。
ちゃんと付き合いだしたのは高3だけどその前からもう付き合ってる感じだったと思う。

受験生なのに毎日一緒で、まあエスカレーターで大学まで進めるからよっぽどじゃない限りは勉強しなくてよかったんだけど。
倦怠期とか無かったし、お互い毎日が幸せだったと思う。お互いが尊敬しあって、お互いがお互いを愛してたと思う。

少なくとも今まではそうだと思ってた。



「愛してる、」
「あっれんじぃっ」



泪が出た。

それは、蓮二くんが浮気している真っ最中を目撃したからじゃなく、
誰にも気づかれないように小さく嗚咽をもらしながら愛を囁き合う二人に泪が出た。
蓮二くんと蓮二くんのお姉さん。
人間の禁忌、近親相姦を犯していた。

私のことは微塵も愛してなかったの。少しは好きでいてくれたのかもしれないけど愛してはくれていなかった。悲しくて切ない。
切ないの割合のほうが大きいのかもしれない。いや、大きい。
だってあんな切ないセックス見たことない。もしも蓮二くんのお姉さんが私だったら、
世間にで堂々と抱き合える。
どうして蓮二くんのお姉さんはお姉さんなの。
そのうち二人は心中しそうで、それでも私は蓮二くんの彼女を演じなければならない。

心中してしまったら今必死に隠している関係も公になるだろう。だったら私が二人を天国へおくりたい。地獄へは私がいくから、天国で堂々と愛し合って。

もし生まれ変わったら、今度は私を愛してください。

それじゃあ、またね。





(ぐしゃっ、)

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