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今日の任務は裏切り者の始末
裏切り者はカノだった
最近の任務が全て上手くいかないのも
カノが作戦を全部、敵に洩らしてるせいだった
「本当に、行く…っすか?」
セトは俺とカノが付き合ってたのを知っていた
だから、こうして気を遣ってくれるのだろう
だけど、
「俺がやるんだ
団員の不始末は、俺が片付けなければ」
俺はそう答えた
答えた内容と本心は少し違う
アイツと最後に話がしたかった
ただそれだけ、
きっと、セトにはこの本心は見透かされてるだろう
「そう…っすか、
気を付けるっすよ?」
セトがそれでも止めなかったのは、俺の気持ちを汲んでくれたから
「あぁ、行ってくる」
俺は黒いコートを羽織り、カノと長年一緒に過ごしてきたアジトを後にした
アイツと、このアジトで過ごすことはもうないんだ
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