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捕まる前にひとつだけ言い残す言葉に戸惑いが隠せない
奥歯で噛み砕いた街は面影などあるはずもなく
君を殺したいこの思いが初めてでないと知った
あなたをなくせば枯れるだけ
(それでも離れろと仰るのですか、)
まるでキミに抱かれているようなこの感覚がたまらないの

僕の魂を君にくくりつけたの
味わう度に君を好かう
その目はもう僕の中身だよ

あなたと歩けた毎日はいつまでも続く私の永遠になりました
殺してくれるならキスしてあげよう
目映い光線に彩られた君の背中を押す手が寂しいと呟いた
おまえのために一滴ぶんの雪を降らせよう
彼処にある僕の脳味噌が悲鳴をあげます
これで復讐はおしまい。明日をお楽しみに
横斜する世界を駆け往く翼
嘆く心臓は幼児より硬く
水面下で愛を殺せ

ぼくが覚えているから、きみは忘れてもいいよ
明日もしまだこの世界に僕がいて君が僕を好きでいてくれたなら
いつになれば愛から解放されるのでしょうか
きみがいなくたって世界はかわらないけれど、きみがいればきっと僕はしあわせになれる
ぼくらが幸せになれない理由はぼくらしか知りません

きみと見た世界は今よりきっとずっとうつくしいものだった
明日が訪れずともそこにきみがいるのなら
手をつなぐだけでキミのすべてを知れたらよかったのに
僕にできる愛の証明なんてこれっぽっちしかない
こぼれおちた愛は悲しみよりも重かった
君はもう僕ではなくなった
陶磁器の様な君をグラスに注いで人差し指で掻き乱すの
前のめりな世界とおいてきぼりの透明
日暮色の蝉時雨
桜の彼方に転がる骸

その頬をつたうきれいな水滴を舐めとってもいいかしら
馬鹿馬鹿しいときみに嘲笑って殺されてみたかった
白い首筋に燃える痕は僕のなかの誰がつけたのだろうか
嘘つきな恋人にあげたプレゼントは何一つホントウなどなかった
優しく腕を振るい挙げたキミに僕はにっこり笑って抱きついた

極夜に始まる王捜し
涙を盗んだ爆発音
アスファルトに落っこちたギヤマンは僕の汚物をぐにゃりと担ぐ
自惚れと君の狭間にて
きっとこれが僕から君へ投げる最期の肉声なのであるから
その笑みに抱き着いて天門へ左遷
原子で構成された君は愛せない



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