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「おれは、プレゼントじゃないろ?」
「いいえ、ルークを独り占め出来るなら、何よりも嬉しいプレゼントですよ」
普段から男女問わずにモテるルーク。実際にガイもアッシユも、ルークに対して恋心を持っている。隙あらば自分から奪おうとしているのは、彼らだけではないはず。ピオニーは、嫌がらせなのか、好意なのか。よく分からないが。ルークを気に入っているのは事実だろう
いつもジェイドは周りに対して、牽制をしているのをルークだけが知らない。だから、独り占めが出来るのなら、それが何よりもプレゼントである
「むー。なら、じぇいろも!おれだけのら!ずっと、イッショらろ!」
「えぇ、一緒ですよ。二人きりで過ごしましょう?その前に」
無防備なルークを押し倒す。力などほとんど入っていない身体を倒すのは、とても簡単であった
「じぇいろ?」
キョトンとしているルークに、本日二度目となる極上の笑みを向ける。素面だったなら、嫌な予感がしただろう。だが酔った頭では、そこまで回らないみたいだ
「私以外の男に、愛想を振りまいたお仕置きです。そんな無防備な姿、二度と見せないようにたっぷりと分からせてあげますよ。身体でね」
「え、あの、え?」
「ご心配なく。約束通り、明日はずっと傍にいますよ。ただし、ベッドの住人になってるかもしれませんがね」
まだ何か言いたそうなルークの口唇を塞ぐ。アルコールが入っている身体で抵抗しようとしても、ジェイドに適うわけがない。素面でも、無理だというのに
散々お仕置きをして、すっかりとベッドの住人となったルークはぐっすりと眠っている。その間に、ジェイドは予約していたケーキを取りに部屋を出た
「あ、大佐〜、おはようございま〜す。お仕事はもう終わったんですかぁ?」
「えぇ、昨日終わりました」
「でも〜、今日出発は無理ですね〜」
アニスが薬と水を持って、ガイの部屋の前にいる。それだけで、その理由が分かる。何せ、ジェイドはその現場を見ているから
「あぁ、やはりガイも二日酔いですか」
「はぇ?何で知ってるんですかぁ?まぁ、いいや大佐だし。そうなんですよ〜、せっかくのクリスマスだってのに、看病だなんて〜……。ん?『も』?ガイ以外にも誰か……。あれ、大佐がルークの部屋から出てきたってことは」
聡いアニスには、何があったかは察したらしい。きゃは☆どうぞごゆっくり〜、とガイの部屋に入っていく。それからすぐにガイの頭痛と戦いながらも、アニスに抱きつかれたのか。助けを求める悲鳴が聞こえた
この場にいるのがルークやティアだったなら、止めに入ったかもしれないが。あいにくジェイドはそんなお人好しではない
さっさと歩き出した
二人分なので、少し小さめなケーキを片手にルークが眠る部屋に入る。まだ起きていないようで、ベッドの上が膨らんだままだ
少し、無理させすぎたかな、と今更過ぎることを思いつつも、ちっとも反省していない。むしろ、これでルークが少しでも危機感を覚えてくれていればいいと思う
自分の交友関係に不安を抱いているようだが、ルークの方がよっぽどモテる。それこそ老若男女問わずに
そろそろ安心させてもらいたいものだ
(ま、そんなこと一生無理なんでしょうが)
ルークを閉じ込めておけば別かもしれないが
ジェイドは未だに起きない眠り姫に、口唇を重ねるだけの軽い口付けをした。物語だったら、これで目覚めるのに
「ん……」
すると、本当に眠り姫はゆっくりと瞳を開けた
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