B

「あんの鬼畜眼鏡!!俺が嫌いなの分かりきってんじゃねぇか!」

夜、ルークは苛々していた。あれから何があったのか分からないが、ジェイドのことだから、からかって遊んだのだろうと予想がつく

「絶対婚約なんて破棄してやる!!」

背景に火が見えるほど、燃えているルークに、ルゥは慌てて言う

「ルーク!」
「あ?んだよ?」

ルゥの珍しい大声に、ルークはやっとルゥに視線を送った

意を決して、ルゥは告げる

「お、オレな…ピオニー先生が…す、好きなんだ」

頬を赤らめながら言うルゥに、ルークは目を丸くする。何か考え込むと、ルークはふと笑った

「なら、良かったじゃねーか」
「ルーク…」

意外な反応に、ルゥの方が拍子抜けしてしまう

「…別に、おめーが本気なのは前から知ってるし。向こうは知らねぇけど、ルゥがマジなら、反対する理由なんかねーよ」

顔を真っ赤にしてぶっきらぼうに言うルークは、何だかとても可愛い。ジェイドもきっとこういうところを気に入ったのではないかと思う

クスッと笑うルゥに、ルークは何を笑ってるんだと羽交い締めをしてきた


そんな翌日、ルゥは朝早くから弁当作りをしていた。自分の分だけならともかくピオニーのも作るのだ。気合いが入ってしまう

「ふぁぁっ。何してんだよ、ルゥ?」

珍しくルークがあくびをしながら起きてきた。朝からキッチンで悪戦苦闘しているルゥを見て首を傾げる

「見て分かるだろ?弁当作り」
「ふーん。二人分を?」
「う。それは…」

いつもは一人分しか作らないのに、二つ弁当箱があるからバレバレである。ルークは少し焦げてしまった卵焼きをつまみ食いした

「あっ!ルーク!!」
「ちょっと焦げてるけど、美味いんじゃね?あのオッサンにやるのは勿体ねぇけど」

素直に美味いと言えないのがルークらしいといえば、彼女らしい

「ルークも作ってみたら?未来の旦那さんのカーティス先生に」

ニヤニヤと笑いながら、いつもからかってくる仕返しとばかりにそう言った。ルークはボンッと音を立てて頬を朱色に染めた

「じ、冗談じゃねぇ!!何で俺があんな鬼畜眼鏡に、んなことしてやんなきゃいけねーんだ!?」

怒っているのか、照れているのか。ルークは着替えてくると二階に行った

「何だ、ルークもまんざらでもないんじゃん」

不器用な妹の恋を、応援してあげようと決めた

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