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「言っておくがな、俺達はおめぇーらなんかと結婚なんかしねーからな!!」
科学準備室に入った瞬間、二人を指差してルークは叫んだ。それに反応したのは、ピオニーだった
「じゃ、拒否することを拒否する」
「んだと!?拒否すんのは、こっちだ!おめぇらに拒否する権利なんかねぇんだよ!!」
「そいつは違うな。現代は男女平等だぜ?何事も同等の権利があんだろ?」
ムキーと怒っているルークを今まで無言だったジェイドが背後から抱き締める。そのおかげで、ピタリとルークは止まった
「ピオニー」
「おーっと、嫉妬深い男はおっかねーな」
お手上げ、とばかりに両手を上げるピオニー。ジェイドは殺気がこもった目で睨み、ルークを連れて出ていく
「ちょ…っ!?離せ、離せつーの!!」
「嫌です」
二人の会話が聞こえなくなってから、ピオニーは近づいてきた
そこでやっと、部屋に二人きりだと気付く
(ど、どーしよ!?今更緊張してきた)
オロオロするルゥに、ピオニーは優しく頭を撫でる
「ルゥは、俺との婚約は嫌か?」
そう聞くピオニーは、どこか寂しそうだった。考えるよりも、先に口が動く
「嫌じゃないです!!お、オレは、その…嫌じゃ…ありません」
思わず大声を出してしまったのが恥ずかしくて、後半は口籠もってしまった
「良かった」
ホッとするピオニー。嬉しそうに笑う彼に、ルゥは赤面してしまう
しばらく見つめ合っていると、授業を知らせるチャイムが鳴った
「あ、朝礼サボっちゃった」
教室に行かないと、とルゥが歩き出そうとするとピオニーに腕を掴まれる
「たまにはサボったっていいだろ?ここにいろよ、ルゥ」
教師らしくない発言だったが、それよりも掴まれた箇所が力強くて振りほどけない。何よりピオニーの真剣な表情にルゥは見惚れてしまった
思わずコクリと頷いてしまう
「よし、決まり!」
子供みたいに笑うピオニーが、どこか安心させられる
「ん?弁当持参してるのか?」
ルゥの半分開いていたバッグから弁当箱が見えていたらしく、ピオニーは手に取る
「あ、今…料理の勉強中なんです」
それを聞いたピオニーは何やら考え込み、いいことを閃いた、とニヤリと笑う
「じゃ、明日から俺の弁当もよろしくな」
「え!?」
「楽しみだなー、ルゥの手作り」
まだ返事もしていないのに、強制的に決められるのだった
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