このタイミングで寝れるか?普通。

あったかいから、寝るって赤ちゃんかよ。

自分の目の前で気持ち良さそうにすやすや眠る彼女をレノはもう一度見て溜め息を吐いた。




携帯に届いたルードからのメール。
地下水路へ行く。
たった一文。
これから電話が繋がらないと言う事かなのは分かったが···

何してんだよあいつは。

呆れながらも携帯を閉じた。


そこから何時間か経ち、特に楽しくもない仕事を軽く片付けた所でツォンさんから電話が来た。

ルードと連絡がつかないと言われたので居場所を教えると怪訝そうな声でそれはまずいな、と呟いたのが聞こえた。

聞けばベヒーモスが地下水路に落ちていったとか何とかでこれから神羅兵が突入すると。
それを聞いてとうとう頭が痛くなった。
ルードが居るから大丈夫だとは思うがタイミング悪すぎだろ。
いや、あいつの事だからベヒーモス退治に地下水路もありえる。
兎にも角にもこれはとことん問い詰めにいけねぇとな・・・
幸い、仕事も終わってツォンさんからルードとの合流を頼まれた。


急いで向かった所でまた携帯にメールが届いた。
と言うか電波通じるなら電話しろよルード。

開いて読んですぐにそれを閉じた。

・・・ほんと何やってんだよ・・・

なまえが倒れた。と書かれたそれは俺を焦らせるには十分な物で
昨日の酒屋で休んでいるらしく、すぐさま向かう。

酒屋の前には見慣れたルードの姿。
あいつはなんともなさそうだ。

すぐさま駆け寄ると俺に気付いたルードは出会いがしらにすまん、と謝ってきた。
特に謝られる理由もなく。はぁ?と返す。
ルードはそんな俺に眉をひそめる。

「気付いてないのか?」

「は?だから何が」

「・・・いや。なんでもない。今知り合いが医者を呼んできている」

「そんなにヤバいのか?」

「・・・・元気ではある」

「倒れたんじゃねのかよ」

「体が動かなくなっている。疲れからくるものなのか、魔力の使い過ぎか。ダメージも喰らっているからそれか」

「お前は何してたんだよ」

「・・・突然ベヒーモスが現れてやられた。監視とはいえあれは守るべきだった。・・・想定外で逃がす事しか出来なかった」

「・・・・・・まぁ。生きてんならいいだろ」

「行くのか?」

「せっかく来てやったんだからな」

「・・・・顔」

「は?」

「怖いぞ」

言われて気付く
自分でも吃驚する位にイライラしてる。と
ルードに指摘されて直す気もおきず。無言でそのまま踵を返した。

何に対してイライラしてんだよ。
そもそも俺らの仕事はなまえの監視及び任意の勧誘であって保護でも護衛でもねぇ。
あいつが何をしようと俺らが関与する必要はねぇんだ。
ルードのせいでも、なまえのせいでもない。

・・・・それが妙にイラつく。

「・・・なに、必死になってんだよ、俺」

仕事は仕事。分けないとやっていけないだろ。

いまいち割り切れない自分に嫌気が差した。









開いた窓から冷たい風が流れた。
布団に眠るなまえの髪を揺らしていく。
寒そうに身じろいだ無防備に眠る彼女を見て、胸が苦しくなった気がした。
自分の心に舌打ちをしずれたタオルケットを掛けなおす。







なぁ、その子が欲しいんだろ?
いっその事、手に入れてしまえばいいだろ?
いつも見たいに。
都合が悪くなったら捨てればいい。そうだろ?



「・・・できっかよ···」



なんで



·······なんでか?

しらねぇよ・・・・

わかんねぇけど。


放っておけない。目が離せない。


抱き締めた温もり、俺だけに向ける笑顔。
居心地がいいんだ・・・。
捨てられねぇ。・・・簡単に捨てたくねぇ。



じゃあ何故捕まえない?



否定されるのが···怖いのか?



好きだと思う分、自分を知られるのが怖い?



自分から離れていってほしくないのか?
だからいっその事、自分から踏み出さないのか?





本当はもう、手放す気なんて無いくせに。






「うるせー」





いつからこんな純粋になったんだよ俺は。

つーか、何でこいつなんだよ。

チラ、ともう一度なまえを見る。
相変わらず幸せそうにすやすやと眠っている。
別に美人って訳でもないし、タイプって訳でもない。
でも、こんなに見ていて胸が温かくなる奴は今まで居なかった。

いつからだった?

····あぁ、あの時だ。


はぐれない様に繋いだ手。何気なく見たなまえちゃんの顔。真っ赤に染まった頬と熱を持ち、うるうるとした瞳。息をのんだ。ガキだと思ってた。こんな色っぽい顔もするのかと。
自分の気持ちを隠す様にからかうと逃げるなまえちゃんが
愛らしかった。




・・・・焦んな俺。
今はいいんだこのままで。



俺の想いは····なまえちゃん次第。


だから・・・




「なぁ、なまえちゃん···俺を捕まえてくれよ」


レノの言葉は誰にも届くことなく窓から吹く風に流されて消えていった。























時と場所は変わり神羅ビル。
49階に位置するソルジャーフロアー。
彼、ザックスは窓から見えるミッドガルを腕組みをして見下ろしていた。

その顔は珍しく険しかった。


「おー、おー、なんだよ今日も機嫌悪いなザックス」

「・・・カンセル・・・」

声をかけられて振り向くといつものあいつ。若干の笑みは何に対してだ。
話しかけられたザックスはと言えばその綺麗な顔をさらに顰めた。

そりゃそうだ。

半分ため息交じりに吐き出して座り込んだ。

「なまえに電話が通じないんだよ」

任務が落ち着いた昼過ぎに何気なくなまえに電話をしたが圏外の為不通。
折り返しもなく既に夕方。
仕事も手に付かずもう既に何時間もここに居座って連絡を待っていた。

「まぁた妹ちゃんかよ」

薄く笑ったカンセルはやれやれ、と息を吐きながらザックスの近くに腰を下ろした。
その言葉に反応してザックスはカンセルを睨んだ。

「妹の心配して何が悪いんだよ」

カンセルはザックスの顔を見て可笑しそうに笑っていやー、とおどける様に言葉を続ける。

「さすがの俺もなまえちゃんの居場所まではわかんないなぁ」

「分かったら気持ち悪いわ」

「と言うか、タークスが監視してんだろ?何かあれば連絡くるだろ」

「・・・・・」

言われてハッ、としたザックスは自分に悪態をついてポケットから携帯を取り出した。
その一連の行動を見て、ほんと。お前は・・・。と呆れたカンセルが居た。


ザックスの携帯に入っているタークスの人間の連絡先と言えばツォンだ。
彼の項目を見つけて通話ボタンを押す。
彼は案外すぐに電話に出た。


「なんだザックス」

「ツォン!なまえがどこにいるか教えてくれないか!?」

食い気味に言ったザックスに電話越しのツォンは少しの沈黙の後、
怪訝そうに言った。

「・・・連絡がつかないのか?」

「そうなんだよ!昼過ぎ位からだ」

焦った声のザックスに、
ツォンの方も疑問に思ったのか、承諾して電話を切る。

ザックスは電話が切られて一息ついた。


「そんなに心配なら一緒に居てやればいいんじゃないか?もう、二日後には帰るんだろ?あの子もお前と居たそうに見えたけどなぁ」

一度なまえと話した事を思い出す。
兄に会うために単身で都会に出てきた健気な子という印象だった。
ほんとは沢山兄と話したいだろう事は会話からも想像できて愛されているザックスが
少し羨ましかった。

当本人は、そうだよなぁ・・・と言ってまたため息をついた。

「?なんだよ。なんかあったのか?昨日は普通に見えたけど」

昨日、街の巡回に誘った俺に頼み込んできて、合間になまえちゃんに会いに行った。
ザックスを見つけて嬉しそうに走ってきたなまえちゃんは誰がどう見てもご主人を見つけた犬・・・。とにかく可愛かった。
ザックスもザックスなりに嬉しそうに話していた気がする。
あれ・・・?いや、待てよ?そういえば若干の違和感もあった気がする。
なんだろうか・・・。


「・・・なんかよぉ・・・。」

考えていたカンセルの横で小さな声でぽつりぽつりとザックスはしゃべり始めた。

「・・・今更兄貴面したくなくてさぁ」

「いや、お前はお兄ちゃんなんだから面とか関係ないだろ」

「そうか?・・・・兄貴って・・・何なんだろうな」

「は?・・・俺から見たら十分ザックスはお兄ちゃんしてたと・・・・・」

ん?いや待てよ・・・?
本当にお兄ちゃんしてた?
俺は兄弟とか居ないからよくわからないけど。
なまえちゃんに対しての好意はほんとに妹に対してのそれだったか?
いや、まさかな・・・・さすがのこいつもそこまで馬鹿じゃないだろ・・・


「・・・・カンセル?」


「いや。なぁ、もしかしてよ・・・一緒に居たら心配過ぎて、あれこれ縛りそうとか思ってるか?」

「え」

固まったザックスを見て、あぁ、なるほどね。と納得した。

「もういい大人だしななまえちゃんも。お兄ちゃんに一々自由を制限されたくないだろうとか。一緒に居なければ自由にさせてやれてるから居ない方がいいとか。」


「あいつは今までまともに村を出たことないからよ。きっと家に居る時みたいにあれこれ言うのもなと思ってな。俺も村を出た時そうだったし・・・」

「でも、気になるんだろ?」

「・・・・・・・・なんでわかんだよ」

「まぁな。伊達にお前と親友をしてねぇよ」

勝ち誇った顔で笑ったカンセルにザックスはぐったりと肩をおとす。

「俺はお前が全然わかんねぇけど」

「そりゃ、お前は自分の事で手一杯そうだしな。そう言う奴だろお前は」

「どう言う奴だと思ってんだよ・・・」

「自分に正直で真っすぐで馬鹿で仲間思いで世話好きで馬鹿」

「馬鹿は余計だっつーの!」


段々といつもの調子に戻ったザックス。
カンセルは一度視線を外して、なぁ、と声をかけた。


「あれこれ悩む性格じゃないだろ、お前は」

「あのな・・・・おれだってよぉ」

「嫌だったら、嫌って言いそうだけどな。お前の妹だろ?二人でちゃんと話したか?」

「・・・・いや。二人で、落ち着いては話してない・・・」

「悩んでる暇があるなら、一回ちゃんと話して来いよ」

な。と言ってカンセルはザックスの肩を結構な強さで叩いた。
前のめりになってその勢いでザックスは立ち上がった。

「・・・・あぁ。そうだよな」

自分に言い聞かせる様に呟き手のひらを握りしめた。

「仕事なんてもう終わってんだから行ってこい」

言われて苦く笑ったザックスは駆け出した。

目指すはスラム街。


















「あぁ〜居たぁ居たぁ」

すっかり暗くなり、魔晄エネルギーで作られた光がスラム街を照らした頃。
酒場は酒に飢えた人々で賑わっていた。

この中を酒場に似合わない白衣を来た小柄のその人物は奥の部屋へと案内されてきた。

なまえの目覚めと医者を待つ間に晩飯を軽く頂いていたレノとルードはその明るい声に面食らった。

「····あんたが医者か?」

「そぉーだよぉー。こーんにちは、あ、こんばんはだねぇー」

髪は短く中性的な顔立ちのその人物はどこか抜けているような話し方でふにゃり、と笑うとそのままなまえの側へと近付く。

二人は大丈夫なのかよ、と顔を見合わせた。
医者の後ろを付いてきていたおじさんがレノに腕は確かなんだよ。と耳打ちをする。

「あっちゃーまぁたやってるねぇなまえはぁ」

「・・・なんだよ、知り合いなのかよ?と」

「うんうん。なまえは、僕の患者さんなんだよぉ〜」

「患者?」

「そ、昔からのねぇ〜。今回ねぇ、ミッドガルドに一人で行ったって聞いてぇ慌てて来たんだよぉ」

「ミッドガルに来るって聞いてなかったのか?担当医なのに?」

「僕も忙しいからねぇ。久々に様子を見に行ったらいないって言われてさぁ。なまえはすぅぐ無理するからぁ心配でねぇ」

「····昔からなのかこの性格は···」

「まぁねぇ。案の定頑張りすぎちゃってるねぇ。」

医者は話しながらもてきぱきとなまえの診断していく。
しばらく診て、うん、と一つ頷く。


「魔力の使いすぎだねぇ〜」

にゃは〜、と気の抜ける声を出して笑った。

「じゃぁ、命に別状はないって事だよな?」

「そぉーだねぇ。これ以上使ったら死んじゃうかも?」

軽く言ったその言葉に三者三様の反応を返す。
それを見て医者はアハハ〜、と笑った後、大丈夫大丈夫。と言った。

「だからぁ、使いきる前に体が動かなくなるんだよぉ?人間の体ってほんと便利ぃ」

「なんか治療とかあんのか?」

「んー。そうだねぇ。特別な事はないよぉ。エーテルでも飲んどけばすぐ治るよぉ〜」

「っんだよ。ほんとお騒がせな奴···」

「そぉだねぇなまえは目を離すとすぅぐぶっ倒れるからおもしろ···げふんげふん。心配なんだよねぇ」

「「「·······」」」

医者の言葉はスルーして、心配した分、脱力する三人。
医者はエーテルを飲ませられないので注射器を鞄から取り出してそれを彼女に注射する。

「後はぁ僕が診てるから皆はぁすきにしていいよぉ〜」

言われておじさんは二人の方を見る。
その場を動く気のない二人を見て、あー。と戸惑った声を出した。

「じゃぁ、俺はもう行くぜ?なまえちゃん無事でよかったな」

「あぁ···あんたさぁ。今度から、なまえちゃんに無茶な依頼するなよ、と」

レノに言われたおじさんはびくぅ、と肩を震わして慌てて言った。

「そ、それはもうほんと!もうしないよ!お願いされてもあんたが居ない時は絶対に頼まないから!」

「····おい、なんか勘違いしてないか?と」

レノ的には注意してほしいと軽く言ったつもりだったが、おじさんは首が取れるんじゃないかという位にぶんぶん首を振って謝る。

「ほんと、すまなかった!だから許可とらなくていいのか、て聞いたんだよ俺は」

「····おーい。人の話し聞けよー」

「じゃぁ、俺は行くからな!いいよな?じゃぁ「なまえ?!」へぶっっ!!!」

「「あ」」

いそいそとおじさんが部屋から出ようとドアに近付いたその時、いきなり開いたそれがおじさんに激突した。
当てた張本人ザックスはドアにぶっ飛ばされたおじさんを見て慌てて声をかけた。

すっかり伸びてしまったおじさん。
二人は特に駆け寄るわけでもなく、特にレノに至っては少しだけ可笑しそうに口角をあげて挑発的に言った。

「あーあ。可哀そうに。ソルジャーの攻撃とかひとたまりもねぇーな」

「な!お、お前!!やっと見つけた!!」

「はー?お前とかくれんぼした覚えねぇーぞ、と。」

「いや、そーだけど!お、俺はあんたに言いたいことが···」

とザックスが最後まで喋る間もなく部屋に笑い声が聞こえた。
笑い声の方を三人が向いて、ザックスが目を見開いて驚く。

「え?あ!お前!バン!え?なんでここに?!」

「アハハぁ〜久し振りだねぇザックーん」

「ザックん···」

レノの言葉にザックスは少し睨んでバンと呼んだ医者の所へ歩く。

「わざわざなまえを診に来てくれたのか?ありがとな」

「いーのいーの。古くからの仲でしょぉ」

「まだ診てくれてたんだな。あ、なまえの容態は!?」

「うん、大丈夫だよぉー。いつも通り魔力の使い過ぎぃ」

「そうか・・・。じゃぁもうすぐ目さめるな」

「うん。エーテルもあげたしもう目覚めると思うよぉ」

バンといくつか話をして、よし。と頷いたザックスは
黙って座っていたレノの方を見た。

「ここで会ったが百年目、だ。今から俺に付き合え」

「・・・めんどくせぇ・・・」

隠すことなく嫌そうな顔をしたレノにザックスは食い掛る。

「言っただろ。お前に話がある。ここでうるさくするわけにはいかないだろ」

「俺はなまえちゃんが起きるまでここに居るって約束したからなぁ。」

「なんだよそれ!?いつ約束したんだよ!」

「ほらほら。うるせぇぞー。騒ぐなら外行け外」

「おまえ・・・認めねぇ・・・」

「は?」

「勝負だ。勝負しろ」

「はぁ?それこそめんどくさいぞ、と」

「あら、楽しそうでいいじゃない。丁度お店にダーツとかあるわよ?皆でやりましょ?」

明るく響いたその声はいつの間にかドアを開けて倒れていたおじさんを近くのソファーへ移動させたシスネだった。

「はぁ!?お前何言ってんだよ、と」

「シスネなんでここに?!」

「なまえちゃんが倒れたって聞いてきたんだけど、なんだか面白い展開になってるな、て」

「そぉだねぇ。僕もワクワクだなぁ」

「意味わかんねぇ。ルードもなんか言ってくれよ」

「・・・起きてるぞ」

「は?・・・・」

ボソッと呟いたルードの言葉に布団がモソッと動いた気がした。
既に気付いていたらしいシスネとバンはクスクスと笑っている。

先に動いたのはザックスだった。元よりレノはジト目で見るだけで動く気は無さそうだった。

「なまえ・・・?」

「・・・・あ、ははは・・・お。おはよーお兄ちゃん・・・」

声をかけられたなまえは恐る恐る布団から顔を出した。
その顔色は先ほどとは違いとても良かった。
元気そうに苦笑いをしているなまえの顔を見たザックスは大きく息を吐いてすぐ傍の椅子に座り込んだ。


「起きてたなら声かけろよー」

「いや、ごめん。めっちゃ仲良く話し込んでたから」

「誰と誰が仲いいんだよ、と」

「え・・・?うん、何でもない」

「私が来た時には起きてたわねなまえ」

「なんでばれてるのぉ・・・」

「・・すぐ分かったぞ。あからさまにガサゴソしてたからな」

「そぉーだねぇ。二人共仲良く話しすぎぃ〜」

皆に一斉にからかわれて、居心地悪そうに頭を抱えたレノ。
嫌そうに顔を歪めて何なんだよ、俺集団いじめ受けてんのか?と呟くザックス。

二人を見て他の皆がそれぞれに笑った。


「それにしても先生久しぶりですね!先生にもミッドガルに行くって言いたかったけどもう半年も音信不通だったから・・・勝手に行ってごめんなさい」

「別にいいよぉ。楽しんでるみたいで僕も嬉しいよぉ。でもぉ、無理はダメだって何回も言ってるよねぇ?」

「う、ごめんなさい。まだ自分の限界がわからなくて・・・」

「馬鹿だからな」

「レノ!・・・ほんと聞いてよお兄ちゃん!レノがバカバカ言うんだよ?!ひどいよね?!」

「兄弟そろってバカだろ、と」

「あんたに言われる筋合いないぞ!だから言っただろ?!お兄ちゃんは認めないって!」

「あらーレノちゃんとお兄ちゃんとも仲良くしないと大変よ?」

「何がだよ」

「レノもバーカ」

「子供かよ」

「よし。ダーツで勝負だ!!」

「だから・・・」

「がんばれおにいちゃーん。レノなんて倒しちゃえー!」

「任せろ!」

「あらなまえちゃんはザックスを応援するの?じゃぁ私は同僚組の応援ね。頑張ってレノ、ルード」

「・・・・俺もか」

「・・・・・・はぁ。めんどくせー」

「やる気だしてよレノー」

「能ある鷹は爪を隠すんだぞ、と」

「自分で言っちゃうんだ」

「・・・・ったく。仕方ねぇやるからには、軽く捻りつぶしてやるぞ、と」

「望む所だ」

「・・・俺もやるのか?」

「頑張ってねルード」

なんだかんだでバチバチと闘志を燃やし始める二人に引きずられるルード。


「ふふふ、皆楽しそうだねぇ」

「あ、先生も来ます?」

「ううん、僕は遠慮するよぉ。まだやる事があるからねぇ」

「相変わらず忙しいんですね」

「まぁね、あぁそうだぁなまえ。明日の朝、一応体見るからぁ。ホテルの場所教えてぇ?」

「あ、はい!ありがとうございます!紙に書いときますね!」

「うん。ありがとぉ!じゃぁまた明日ねぇ」

満面の笑みで手を振ったバンはそのままゆっくりとお店を後にした。

「じゃぁなまえ行きましょ。あの三人もうやる気満々よ」

「うん!シスネも来てくれてありがとう」

「いいのよ?友達でしょ?」

「・・・うん!友達!」

「さー、聞きたい事沢山あるわよー覚悟してね」

「え」

素敵な笑顔でウインクしたシスネ。相変わらず美人だ。と思いながらも
何を聞かれるのかビクビクしながら三人の後を追った。









prev next
back




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -