「戻ったぞ、と」

「遅かったな。」

神羅ビル内。書庫のある部屋の扉が開かれ、先程ソルジャー1stザックスの妹でもあるなまえを送り届けて帰ってきたレノが気だるげにルードの横へと腰掛けた。

「まぁ、な。ちょっと休憩してきた」
「だろうな」

ルードはまるで分かっていたかのようにレノを見て鼻で笑った。
彼は、さすが、相棒。分かってんなー。と呟き、近くの資料に手を伸ばす。

「··········どうだったんだ?」
「何が」

そのまま、あー、だりぃ。と言いながらも資料を捲るレノに痺れを切らし切り出したのだが
レノは語る気は無いのか軽く返す。

しかしルードも折れる気は更々無いので無言の圧力が続いた。

しばらく経ってレノが溜め息をつき、吐き捨てるように、空気読めよハゲ、と言った。

「何が聞きてぇんだよ」
「そうだな。·····まずはなんでお前が彼女を気にしてるのか。····何かあるのか?」
「········ねぇ、とは言えねぇな。つーか、お前それ分かって聞いてるだろ」
「··········素質か」
「·····あぁ。··········好戦的、大胆で度胸がある。飲み込みも早い。ったくソルジャーの妹はソルジャーか、と」
「連れてくのか?」
「は?上から達しがなきゃ連れてかねぇよ」
「タークスの仕事はソルジャーの素質がある人間の勧誘。及び誘拐」
「じゃぁ連れてくのかおめぇは」
「··········上から命令が下ればやる。それまでは·····聞かなかった事にする。」
「·················ったく可哀想だななまえちゃんは」
「は?」
「お前の事気にしてたぞ、と」
「な·····」
「彼女いるっつといたけどな、と」

そう言ってレノはクツクツと笑った。
ルードは複雑そうに顔を歪め、言葉に詰まる。

あらかた笑ったレノは、と言うか。と言葉を続けた。

「ソルジャー様を敵に回すのもめんどくせぇ。ちゃーんと忠告したが、あれじゃぁ分かってねぇよなぁ、と」
「ザックスか。·····確かに骨が折れそうだが·····」
「仕事なら仕方ねぇよな、と」

あー、だりぃーと延びをするレノ。

「一週間、いや後5日」
「?」
「なまえちゃんがミッドガルに居る日数」
「·····ずっと居るわけじゃないのか」
「そーゆーこと。····それまであんまり目立たないようにしてくれる事を祈るしかねぇよな、と」
「···············そうだな」

そう言って二人は自然と視線を窓の外へとやった。

日は沈み、相変わらず魔晄炉から漏れ出す魔晄が街を照らしていた。


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