優しい太陽



あと数十分もすれば日付が変わる、秋の夜長。地球の真夜中の夜空は、宇宙と違わない程真っ黒だ。
そんな空を旅館の一室から見上げ、詩音は苛立ちの混ざった溜め息を吐いた。



あれ程早く帰って来てねと言ったのに。
折角の誕生日を睡眠時間の確保に使うなんて、そんなことはしたくなかったから。
それなのに。



(どこほっつき歩いてるの・・・)



日付が変わっても帰らなかったら先に寝よう、と決意した時、すうと襖が開いた。



「アッハッハ、ちいと呑みすぎたぜよ、うおえっ」



「辰馬!おかえりなさい」



「お?詩音、起きちょったがか?寝とって構わんかったんに」



先程までの苛立ちは瞬く間に萎んで、代わりに膨らんできたのはあたたかな気持ち。
この人の笑顔には人をやさしくさせる何かがある、と詩音は思う。



「どこ行ってたの?」



「大事な話し合いじゃあ。久しぶりの地球で浮かれてしまったき、すまんのー」



「・・・明日甘いもの奢ってくれたら、許す」



「ああ!そうじゃ、詩音座りい」



「ん?」



言われるがままに座布団に正座をすると、坂本は小さな箱を取り出した。
「詩音のもんじゃ」と言われ、簡素な包装を解く、と。



「っ、こ、れ」



「詩音、わしのお嫁さんになってくれんがか?」



箱の中には、シンプルな指輪がひとつ。
坂本はサングラスの奥、とてもやさしい瞳で笑っていた。



「お、お父さんとお母さんには、」



「今日はそれを話しに行ったき。二人とも喜んでくれたぜよ」



震える指で、薬指にはめてみる。
暗闇の中、それは確かに発光していた。



「・・・嬉しい。すごく」



「最高の誕生日プレゼントじゃあ」



時計を見ると、針は既に日をまた越していて。
「誕生日おめでとう」と笑った。



「今日は美味しい甘味処に連れて行くき」



「ふへ、嬉しい。辰馬はどっか行きたいとこないの?」



「わしゃあ詩音がおればどこでも満足ぜよ」



「・・・!そんな恥ずかしいこと、普通に言わないでよ・・・」



発光する人


(前にいると眩しすぎる、きっと隣が丁度良い)


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坂本誕生日小説!遅れてごめんなさい!
代わりと言っては何ですが吐く程甘いです 笑
ちょっと短い・・・かな・・・?
辰馬Happybirthday!貴方がだいすきです!





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