たいせつ。

「新八ー、神楽ー、出かけっぞー」
「どこアルか、花見、花見アルか!?」
「ちげーよ。花見は先週行っただろが。スーパーだよスーパー」
「えー。天パとダメガネとスーパーなんて嫌アル。詩音はー?」
「ごめん神楽ちゃん、ちょっと掃除機かけたり洗濯物取り込んだりしなきゃいけないから、3人で行って来てくれる?」
「詩音の頼みならしょうがないネ。銀ちゃんがパチンコ屋に寄り道しないように目を光らせておくアル!」
「・・・ちょっと神楽ちゃーん、俺がマダオみたいな言い方やめてくれる?地味に傷つくんですけど」
「傷つくもなにも、真実アルよ」
「そういえば、みりんちょうど切れてましたよね」
「そうだっけ?じゃあみりんもお願い。トイレットペーパーはお一人様2点限りだから、2×3で6個ね」
「・・・わかりました」


銀時たちが行ってしまうと、あたしは掃除機かけと洗濯物取り込みに取りかかった。
それが思いの外早く終わって、ソファーでほっと一息つく。


銀時の家に住み始めて、2年ほどが過ぎた。
付き合いだしたのは、それの1年前。
お互い喧嘩もたくさんして、その分相手のこともたくさん知っている。
神楽ちゃんや新八君も、今では家族のような存在。
あたしがお母さんで、銀時がお父さんで、神楽ちゃんと新八君が子供。
・・・賑やかな家族。


ああ、のんびりしていたら、そろそろ銀時たちが帰って来る頃。
夕飯の準備をしなくちゃ。
大好きな家族のために。












「詩音ーー」


お風呂から上がると、ソファーでくつろいでいた銀時に呼ばれた。


「なに?」
「ここ」


銀時はそう言って、自分の隣を指差す。座ると、くしゃりと髪を撫でられた。


「どうしたの?急に」
「別にぃ〜」
「変なの」


お返しに、あたしも銀時の髪を撫でる。 ドライヤーで乾かさない銀時の髪は生乾きで、微かにシャンプーのいい匂いがした。されるがままの銀時。
「銀時は甘えんぼだね」
「違うしィ。甘えんぼは詩音だろ」
「・・・そうかも」
「おっ、素直に認めた」
「たまにはね。素直になってあげたんだからご褒美ちょうだい」
「はいはい」


銀時が、優しくキスを落としてくれる。
それから、なんだか可笑しくなって二人でくすくすと笑った。


「詩音ー、好き」
「知ってるよ」
「愛してる」
「・・・あたしも」
「二人とも、何をあたしと新八の目の前でイチャイチャしてるアルか!」
「そ、そうですよ!周りにいる僕らの方が恥ずかしいじゃないですか!!」


いつの間にか神楽ちゃんと新八君もお風呂から上がっていた。


「イチャイチャするなら混ぜろヨコノヤロー!」


神楽ちゃんはあたしと銀時の間に無理矢理入り込んできた。


「神楽ちゃん、ずるいですよっっ」


続いて新八君も。


「ちょっ、オメーら狭い!」
「銀時が太ったんじゃない?」
「違うしィィィィィ!!!!!!」


ああ、ダメだ。
みんなと居られるこの時間が、どうしようもなく愛しい。 愛しすぎて泣きたくなるほど。


「・・・ねえ銀時、」
「ん?」
「あたしと、銀時と、新八君と、神楽ちゃんで、いつまでもずっと笑っていようね」


この幸せな時間が永遠に続いていきますように。


「たりめーだろ」


銀時が、あたしと神楽ちゃんと新八君、3人ひっくるめておもいっきり抱きしめる。万事屋に、4人の笑い声がやわらかく響いた。


そして、銀時があたしに優しく微笑む。
ああ、その笑顔に、




あたしは何度も恋をする

いつか、俺らの子供も仲間入りすんだよな

そうだね。神楽ちゃんと新八君にお守りしてもらわなきゃ

(・・・これプロポーズって絶対気づいてないよな・・・・・・)


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なぁな様への捧げものです!
なぁな様に限りフリー!



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