04 再会
「いつもの部屋にいます」
私を追い抜かし、リッチはトールがいる部屋のドアを思い切り開ける。そんなに強く開けたら壊れるじゃないか。少しは加減というものをしてほしい。
「トール、久し振りだな。元気だったか?」
リッチはニッコリ笑いながらトールの頭を撫でる。子供の姿だがやっぱり叔母だ。この光景だけは微笑ましいと思うのは私だけだろうか。
「お久し振りです。僕もスパルナも元気ですよ。」
トールはそう言って笑いながら撫でているリッチの手を退かした。子供扱いされるのが嫌だったのだろう。決して、振り払った訳ではない。
そんな雑談の後、リッチはトールの向かい側のソファーに座った。何とも大きな態度である。リッチはそのソファーにふんぞり返って私の方を見た。
「さっき言ったが紅茶を煎れてくれないか?」 「僕もついでにおかわりが欲しいのですが」
トールとリッチの声が同調している。嗚呼、嫌だ。思わず耳を塞ぎたくなる。しかし、私はこの二人の言う事を無視出来なかった。私は独自の営業スマイルをする。ここに来て覚えた技だ。こんなの覚えたくもなかったが。
「あ、テティス。紅茶煎れたらすぐ来い」
私がキッチンに行こうとすると、呼び止められた。大事な話があるから。リッチは真剣な顔をして言う。話の内容は分かっている。それは前にリッチ頼んだ事だと悟った。私とトールとって大切な事。
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