03 客人

呼び鈴は相変わらず煩く鳴っている。その音を聞いていると、何か嫌な予感がした。玄関に近づく程その気持ちが高ぶった。何故なら、聞えるから。聞こえたくない声が。

「早くここを開けろっ!!」

やっぱり嫌な予感は当たるものなのだなと改めて思う。私は溜め息を吐きながら玄関のドアを開ける。その外には苛ついた顔が見えた。

「全く、開けるのが遅いぞ」
「御免なさい。紅茶を頼まれていて…」

この人はリッチ・セイレン・クロノス。トールの実の叔母さんであり、情報をくれる協力者だ。昔使った魔法の副作用か何かのせいで見た目は可愛らしい子供になっているが、腹の中は邪悪そのものであるから怖い。

「まぁ、それならしょうがないか。トールは何処にいるんだ?」

リッチは乱れた息を整えながら聞く。随分と疲れた様子だ。いつもの部屋にいると答える。

「そうか。しかし、いつも言っているが、あたしに気を使うなよ?」

何を言っているんだ。いつもこうなのだこの人は。もう意味が分からない。気を使っても使わなくてもいつも怒るのはどこのどいつだ。

「分かった、リッチ」

私は黒く笑う。余計なお世話なんだよ。そう言えない自分が悲しくてしょうがなかった。

「まぁ、良いか。トールの所へ案内してくれ。それから、紅茶煎れてもらえるか? 砂糖とミルクたっぷりで宜しく」

嗚呼、私を助けて下さい神様。我侭が二人にに増えました。この二人が揃ったらある意味最強になるかもしれません。





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