「生きてる?」
泉さんに手をひかれて何とか人ごみを歩いているような状態だ。
神奈川も大都会ではないにしろこんなに人が密集することなどそうはない。

「人が多いね…」
元より人の多いのが苦手なせいか、軽く酔ってきたかもしれない。
顔色の優れない俺を気遣うように
「まあお茶挟みながら進むつもりではおるから、しんどなったらちゃんと申告してな」
人多いんは多分春休みやからっていうのもあると思うけど、と間延びした泉さんの声をなんとか聞き取る。

「ここが有名な道頓堀。別名ひっかけ橋」

「ひっかけ橋?」

「うん。ようナンパされたりお水やらホストやらのキャッチしてたりするからひっかけ橋」

その時だった。

「!?地震…?」
ぐらり、と大きく揺れたかと思うと“何か”がカチリとはまり合うような音が何処かからきこえた。





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