ティーパーティは終わらない
「大きい揺れだったね。泉さんは大丈…!」
「っ…!!」
青ざめた顔で頭を抱える泉さんに慌てて駆け寄る。
「だ、大丈夫?」
慌てて駆け寄ってみると、泉さんの髪が黒っぽくなっていた。
「泉さんその髪…」
「あー、大方の推察はついてる。大丈夫だよ」
安心しろと言わんばかりに優れない顔色でへらりと笑う泉さん。
「(こんな時でも冷静というか、動じない泉さんって何者…)」
ふいにあー、とだるそうな声を出した泉さんは道頓堀の欄干にもたれかかり髪をかきあげた。
「仮説が間違ってたんだ」
「仮説って、平行世界説?」
「そうそう。平行世界じゃない、これは多重世界だったんだ」
「多重世界?」
生憎とSFやファンタジーには疎いのでどう違うのかよくわからない。
よほど顔にでていたのか泉さんは苦笑いをこぼす。
「つまりだ。左右に並んだ世界ではなく、薄皮一枚隔てた世界だったんだよ」
それも今はひとつの世界になってしまったみたいだけど。
ぽつり、と零した彼女の顔は自虐に満ちた笑みだった。
「多分精市くんの記憶も改竄されてると思うんだけど…」
「!」
「当たり、って顔だね。大方こっちには正当な理由があってきましたとかそういう感じ?」
「泉さんってじつは千里眼か何か持ってるんじゃないかって「あれ、吉乃さん?」
To be continue...
←