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ミナモシティのポケモンセンターに血まみれで駆け込めば、ジョーイさんに怒られたのは言うまでもない。

「大体自分の血で匂いをごまかすなんて危険以外の何者でもないでしょう!血液は意外と感染リスクが高いのよ!?」
以下云々、とまあお叱りを受けながらついでに腕を縫ってもらって。

「あのピカチュウなら、二、三日もすれば回復するわ、まったく…」

ちなみに縫合の間アブソルくんは血を洗い流してもらっていたらしい。縫合から開放されてアブソルくんにピカチュウさんの無事を伝えるとほっとしていた。
シャボンの匂いを漂わせた彼とロビーに戻ってくると、笑顔のダイゴさんが待ち構えていた。

「やあ結鈴ちゃん。随分とお転婆じゃないか」

「ダイゴさん…」

にこにこにこにこ。笑っているはずの彼からブリザードが吹き荒れているのは気のせいだろうか、否気のせいではないだろう。

「まったく、最近外出が多いと思えば、突然くすり箱持ち歩いたり。果ては大怪我して連絡。これで心配しない人間がいるかい?」

「ごめんなさい…」

流石に言葉にして並べられると中々思うものがある。申し訳なさにうつむくと、ふわりと暖かい何か。嗚呼抱きしめられたのか…え?

「だ、ダイゴさん!?」

一体どうしたんですか。と顔をあげれば、そっと髪を撫でられそのまま輪郭をなぞるように長い指が滑って。慈しむような視線に絡め取られて思わず息が止まる。

『はーい、そこまでー』

それを破ったのは、アブソルくんだった。器用にも私とダイゴさんの間に割って入って一声かけてくれた。
周りを見れば、赤面しているもの、射殺しそうな視線を送っているもの、苦笑いしているものなど反応は十人十色であった。

『何コイツ、お前の彼氏?』

「いえ、保護者ですけど…」
苦笑いをしながら周りに聞こえない程度の声で返す。

『ふぅん…』

「ねえ、この子結鈴ちゃんのポケモン?」

「いえ、友人ですけど…」
案外似ている二人なのかもしれない。





 

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