青年…もといユーリ・ローウェルが地上で暇を持て余していた同刻、少女…アリシア・ド・ヴェルハーレンは空中を急降下していた。

「ふむ、理論は間違えてなかった筈なのだがな」

おおよそ落下している人間の台詞ではないが彼女にとっては思考の方が大切であったようだ。
「魔法は使えるのか試してみるとするか」

思考に一段落ついたらしくアリシアは片手に抱えていた本に手をかざし、ぶつぶつと呟きはじめた。
するといままで急降下を続けていた彼女の体はふわり、と宙を舞った。

「む、思ったよりもコントロールが大変なのか…まったく不便な」

そういいつつも制御のコツを掴んだらしく緩やかに降下をはじめる。
その下が何であるかなど気にもせずに。




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