大きくなりたい




午後の昼下がり。依頼もなくゆったりと流れる時に身を委ねながら紅茶を口に含んだ時、前触れもなく爆弾を落とされる。


「ねぇ、リオンは胸おっきく出来るって本当?」


お決まりかの如く盛大に彼らしくもなく吹き出した。
すぐ傍でぎゃーっと色気の欠片もない叫び声が上がったのに気にも止めず、汚れた口元を懐に忍ばせておいたハンカチで拭う。
度々突拍子もない事を言ってくる奴ではあったが、今回のは初だ。聞き間違えたかと思うくらい。


「…なんて言った」
「だから胸、ぶっ!?」
「なんか言ったか」


聞き直したのは彼なのに言葉を発した途端両頬を片手で掴まれ話せないようにされるルナ。
どうやら聞き間違いではないらしい。今回ばかりは聞き間違いか或いは幻聴であってくれと願った(それはそれで問題だが)。
みしみしと骨が鳴るくらい強く掴まれてるルナは痛い痛いと言葉になってない叫びを発し、解放するよう懇願する。
彼は舌打ちしながら力を緩め、彼女を解放した。


「いだだだ…。私何も悪い事してないのに酷い…」


確かに、尤もだ。だかしかし、そんなのリオンにとっては関係の無い事であった。
とりあえず諸悪の根源でも聞き出そうかと邪のオーラ全開でルナを見下ろす。


「誰に、何を言ってそうなった」
「(リオンが怖い…)えっとね、まぁ見ての通りぺったんこなんですよ」


そう言いながら腕を広げた彼女の胸元につい目が行ってしまい、慌てて反らす。
確かに普段から意識する事がない程の…といった辺りで思考を強制終了させる。


「で、相談してみたらリオンにマッサージしてもらったらって」
「…誰、に、言われた」


こめかみ辺りがピクピクと痙攣し、今にも血管が切れそうな彼は肝心なところを言ってないと言わんばかりにルナに詰め寄る。
明らか不機嫌面で殺気を放つリオンにやや怯みながらもルナは答えた。


「だ…誰かは内緒。言わないでって」
「…そうか」


納得の言葉を吐いた彼だが、愛刀に手をかけ部屋から出て行こうとする。


「り、リオン…。何処行くの…?」
「大体想像はついた」
「ふぇ…?」


彼は一体何を言ってるのか。ルナには理解出来なかったが、纏ってる雰囲気がとても穏やかでないのだけは理解出来る。
静かに扉が閉まるのをルナはただ黙って見ていた。





数分後、数名の男の叫び声が船内に木霊する事となる。












〜前日、風呂場〜


「ねぇティア。ティアって私と一個しか変わらないよね?どうやったらそんな大きくなれるの?」
「そっ…!そんな事言われても…」
「ジュディスもおっきいし…」
「うふふ。知りたい?ルナ」
「やっぱ何かあるの!?教えて!」
「マッサージよ」
「ほへ?マッサージ?」
「そう。でも自分でやっても効果はないわ。誰かにやってもらわないと。そうね、ルナはリオンにやってもらえばいいんじゃないかしら?」←犯人
「リオン知ってるの?」
「えぇ。言ったらやってくれるわ、きっと」
「よーし、聞いてみる!」
「あ、私が言ってたって内緒にしといてね」
「うん!」

「…止めるべきだったかしら」

















もみもみ。





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