柳生 2011


本日のテスト終了後、頼まれ事を担任に言い渡された私は、明日のテストの為に殆どの人が早く帰り足音が響くまでになってしまった廊下を歩く。



「(流石にこの時間はどなたもいらっしゃいませんね…)」



ほぼ全てが空になった靴箱を見て自分も早く帰ろうと靴箱を開ける。


そこでふと昇降口側の靴箱の影に、風でふよふよと揺れる銀髪を見付けました。

高さ的にしゃがんでもたれ掛かっているのでしょうか…?


ゆっくりと近付いて「仁王君」と肩を叩く。

するとビクッと肩が動いてこちらへ振り返る。



「何じゃ柳生か…ビックリした」


「それはすみません」



ああ、またイヤホンを着けて携帯を弄っていたのですか…


どうりで気付かないはずです。

後でせめて音量を下げる様に言い聞かせておきましょう。



「遅いぜよ 待ちくたびれたナリ」



周りにはどなたもいらっしゃらないですし、私に向けてですかね?



「すみません、ちょっと手伝いを言い渡されたものですから…」



少し拗ねた様子の仁王君につい顔が緩むのがわかります。


私の為に待っていてくれたというだけで暖かくなる…



「やぁーぎゅっ」


「何ですか?」



鞄をガサガサと漁っていた仁王がにっこり笑ってこちらを向く。


そういえば今日は……



「誕生日、おめでとさん!」


「ありがとうございます」



盛大に頭にかけられたクラッカーを退けて、プレゼントの小さい箱を受け取る。



「開けてもよろしいですか?」


「勿論じゃ」



開けてみれば…



「………」


「ピヨッ」



ビックリですね。

ファーや紙粘土で出来たヒヨコが溢れ出てきました。



「…仁王君、これは…?」


「見ての通りビックリ箱じゃ。」



仁王君はしたり顔で私を見た後、箱の中から一つヒヨコを取り出して説明を始める。



「ファーはゲーセンの景品じゃが、紙粘土のは俺と邑で作ったんよ。

これなんか邑が作ったんじゃけど、俺なんじゃってー
可愛ぇじゃろ?」



手に乗せて笑いながら小首を傾げる仁王君。


確かにヒヨコの仁王君は可愛いですが、本当に可愛いのは貴方です!!



「銀髪と黒子付けたらなるっちゅーことは、他の奴らも出来るんかのぅ…?」


「それならば、一緒に作りませんか?」



そういえば、花が咲いた様に笑って嬉しそうに笑う…


だから可愛いんですよ!

私を萌え死にさせたいのですか?!



「あ、そんで本当のプレゼントはこっちな。

邑と一緒に選んだんじゃよ。
用事あるって先に帰ってしもうたんじゃがの…」



ああ、邑さんに気を使われてしましたね…


仁王君から少し小さい紙袋を受け取り、お礼を言えばまた嬉しそうに笑う。


ああもう、これだから貴方を愛おしむ事を止められない!





HAPPY BIRATHDAY! YAGYU!

「」
「(真田に渡せんかったやつをそのまんま柳に渡したのがバレんと良いな…)」







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