テイカカズラが枯れた後


テイカカズラ


6月頃に白い花を咲かせるキョウチクトウ科のつる性常緑低木。

ちなみに有毒。



花言葉は、依存







合宿の時に見付けたらしい部長が俺にピッタリだと渡してきたその花。

正直いらんと思ったけど、名前が綺麗だと言ったから、俺には必要。


後でその花について調べたら、花言葉が出て来た。

名前はテイカカズラの花言葉を知らんかっただろうけど、綺麗だと言ってくれていて、凄く嬉しかった…


濡れた新聞紙に包んで、急いで家に帰って細いタイプの花瓶に入れて机の上に置く。

それから、毎日日の当たる所に移動させて、毎日水を変えた。


元々貰ったのが小さくて細い枝だったせいか、日が経つ毎に枯れていく…

それを名前が哀しそうに見る。


やめろ、枯れるな


少しでも長持ちさせる為に、検索した物や部長から聞いたのを片っ端からやっていく。


それでも、遅らせる事は出来ても、枯れさせない事はできない…



「光?」



こんな花ごときほっときゃ良かった

もっとずっと名前と居れば良かった

名前の声が日に日に消えそうになってるのに気付けば良かった



「おやすみ、光」



いつもと違う挨拶だって気付けば良かった



「おはようさん、名前

………名前?」



嫌な予感がして、急いで花瓶が置いてある机の前に立つ。



「名前…名前…!」



嫌な予感こそ的中する物で…


テイカカズラはもう枯れていて、触っただけでパラパラと崩れていく…



「―――!!」



自分でも分からない声で叫ぶ。多分、声は出てない。


こんな物に名前を重ねて…

触れる事が出来ないからって、名前の代わりにして…

そんな事を考えていたから、枯れさせまいと馬鹿みたいに必死になって…


依存が枯れると言うのは、大切な人が居なくなることで、


俺にとっては存在意義が無くなること。



「名前名前名前名前名前!!!」



何度呼んでも返事どころか、気配すら無い。



ああ゙ぁああ゙ぁぁ゙あぁあ゙あ゙!!!!



何かに取り憑かれた様に近くにあったカッターナイフを手首に走らせる。


どうせ取り憑かれるなら、名前が良い…





(残ったのは、枯れてボロボロになった1本の枝葉だけ)
(椎名の存在を表す物はもう何も残っていない)








連載にしようと思って書いてたら、なんか完結しちゃったので短編へ。

これ一応男主だけど、性別がハッキリしてない…ι


『憑依=自分の中にいるから直接触れられない』
をテーマに書いた話でした。

伝わっていれば嬉しいです♪




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