「「「トリック・オア・トリート!」」」
「でございます」

 家の扉を開けるとそこにいたのは、宅配業者ではなく七人のヒーローたちとシシー。
 つい先ほど、マンションの入り口にあるオートロックのインターホンが鳴った時はカメラに小包を持った配達業者が一人が映し出されていたはずだった。バーナビー宛ての小包にサインする為のボールペンを持って扉を開けてみると団体が笑顔で立っていたのだった。
 突然の事にバーナビーは動揺して玄関で固まっている。七人のヒーローたちはお構いなしに部屋へと入っていく。
 その先頭には虎徹。

「まー、どーぞどーぞ! なんもないとこですけど」
「虎徹、お前が言うか?」
「失礼するよバーナビー君!」
「お邪魔するでござる」
「え、何勝手に入ってるんですか!」

 ようやく動けるようになったバーナビーが虎徹の肩を掴んだ。

「何って、遊びにきてやったんじゃねーか」
「それにしたって突然すぎですよ!」
「まあまあ、固い事は気にすんなよ」
「シシーも買い物に行くって出て行ったじゃないですか! なんで貴女まで一緒にいるんですか!?」

 混乱しながらバーナビーは虎徹とシシーを交互に見て言った。

「――買い物には行きました。その途中に皆様にお会い致しまして」
「そゆこと」
「全員に会ったんですか?」
「はい」
「……何かたくらんでますか?」
「いいえ」
「本当に?」
「はい」

 バーナビーは疑いの目でシシーを睨む。それに対抗するようにシシーもバーナビーの目から視線を外さない。火花が散りそうな程に睨みあう二人に虎徹はたまらず間に入った。

「おいおいバニー良いじゃねえか別に! お前だって今日暇だったんだろ?」
「暇じゃないですよ。先日の出動の件についてのまとめがまだ、」
「そんなの今度今度! 今日は皆でパーっとやろうぜ」
「……だからってなんで僕の家なんですかっ」
「広いから」

 あっけらかんと答える虎徹に、何を言っても無駄だとわかったらしく、バーナビーは頭を抱えて溜息をついた。

「来るなら来るって連絡くらいくださいよ」
「驚かせた方が面白いと思ってね! 驚いたかいバーナビー君!」
「驚かないわけないですよ。ていうか、カメラに映ってた宅配便の人は一体……」

 首を傾げるバーナビーに、一同顔を見合わせてから一人の男を指した。

「ぼ、ぼくです」
「先輩の擬態だったんですか
「キースさんがそっちのが面白いからって……」
「びっくりしただろう?そして驚いただろう!」
「驚きました驚きました。もうわかりましたから、皆さん入ってください。こんな所で突っ立ってるのもあれなんで」
「「はーい」」

 そういってぞろぞろと入っていく七人の後ろをバーナビーとシシーはついていく。
 九人全員が入っても尚まだ広いリビングを見て女子組が声をあげた。

「ハンサムの家綺麗ネ」
「久しぶりに来たけどなんも変わってなーい!」
「夜景すごーい!」

 無駄に大きなガラス窓から望む夜景にネイサンとカリーナは目を輝かせる。高層マンションで立地も良いのでそこから見える夜景は高級ホテルと劣るとも劣らない。

「そういえば、皆さんどうしてそんな大荷物なんですか?」

 ふと気付いたのが、全員大きな紙袋や鞄を持っている事だった。バーナビーが不思議そうに訊くと、虎徹は歯を見せて笑った。

「はい、バニーちゃんはこれな!」
「は?え、なんですかこれ、」
「着りゃあわかるよ」
「着る?」

 虎徹から紙袋を手渡されたバーナビーはきょとんとしている。

「それじゃああたしたち、ちょっと行ってくるわね」
「気合い入れて来なさいよ!」
「「はーい」」

 カリーナとパオリン、そしてシシーは鞄を持ったままそそくさと部屋の外に出て行った。それを見てネイサンも「よっしゃ」と男らしく意気込んで言った。

「さ、アタシたちも着替えましょ」
「「おー!!」」
「よくわからないんですけど!?」

 訳が分からないまま、バーナビーは手渡された紙袋の中身を取り出したのだった。
ハロウィンまで、後五時間。


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