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    ぼんやりとした電気がひとつついていて、薄暗い部屋で視界は、目の前の男の姿が確認できる程度の明るさ。外は夜の帳がおりて静寂に包まれている。この付近は街灯もないので窓の外の世界は闇そのもの。

    普通では"真夜中“と呼ばれる時間でひとつ屋根の下。薄暗い明りのなかで男女がいれば、さらにそれが恋人同士ともなればする事はする事はひとつ、であろう。

    室内はエアコンをかけ忘れ、窓も開いていないせいでじんわりと暑く熱をもって水分を含んでいて、温度湿度ともに快適とはいえない。

    その息苦しさか、彼の少し余裕のない口付けのせいか私の呼吸はだんだんと乱れて、顔にも熱を帯びる。視界は少しだけ滲んでいて目に涙がたまっていることが自分でもわかった。

    「んぅ……っは、このまま、するの?」
    「わり、余裕ねぇんだわ」
    「まって、私」
    「待たない、いや待てねぇ」

    また、余裕なさげなちょっと乱暴なキス。触れるだけかと思えば、呼吸をしようと少し唇をはなして息を吸って吐いて、口をあけたところに待ってました、とばかりにキスされる。驚く暇もなく、口内にぬるりとしたものが入ってきて、隈なく舐められる。息は苦しいのに舐められるたびにゾクゾクとしたナニカが背筋を、身体中足の先までピリピリと駆け巡る。


    「は、もう蕩けた顔してるな。ナマエ」
    「いわない、で」
    「なぁいいだろ?なにも"はじめて"ってわけじゃねぇだろうし」
    「えっ」
    「えっ?」


    思わず目をそらす。
    ベッドに押し倒されて、キスの嵐を簡単に受け入れた私だ。レオリオから見たら"はじめて"には見えないのかもしれない。けれど私は実際のところ"はじめて"で。


    「まさか処女か、お前」
    「……ひどい言い方するね」


    乱れていた洋服を少しだけ整えながら、押し倒されていたところから起き上がる。









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