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「いや、ちがう。ちがう……あーまて……心の準備が」
私には「待てない」とか言ってたやつがなにを言っているんだ。
「俺に押し倒されても、抵抗もしねぇしキスしても嫌がりもしねぇから……てっきり、ある程度は経験があるもんだと、思ったからよ……」
「うん、そうかなって思った。……レオリオだから抵抗しようとも思わなかった。いまも、思ってないよ」
「……わかった。あのな……俺も"はじめて"をもらうのは初めてだからなんつーか、緊張してる」
緊張、だって。いつもはあんななのに。
思わず、笑みがこぼれてしまう。
「痛くしないでね、とびきり優しいコースでお願いします」
「さ、最善をつくします……」
目を閉じて、またキスの嵐を受け入れる。額、まぶた、頬、そして唇。彼の唇が触れるたびそこから熱をもってじんわりと広がる。先ほどの荒っぽい余裕のないものとは違う。硝子細工を扱うように、優しくやさしく触れては放れて触れては、放れて。
優しく触れてくれるのが嬉しくて、たまらなくなった。レオリオの背中に腕を回して彼のシャツをぎゅっと掴む。
本当にとびきり優しくしてくれている。
「レオリオ、ありがと……優しくしてくれて」
「おめーが優しくしろって言ったんだろ?」
「そうじゃなくて、いつも」
「へ?」
「いつも、優しくしてくれるから。ちゃんとお礼言ったことなかったなと思って」
そ、そーかよ。と照れくさそうに笑ってから誤魔化すようにキスされた。
ああ、このキスもなんて甘くて優しいんだろうか。
愛してるよ、レオリオ
いつもよりいっぱいレオリオが好きだと思えた夜だった。
そして私がお願いした通り、とびきり優しいコースだった。
(とびきりコース end)
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