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    ざばざばと道路のアスファルトを叩いて音を鳴らしているのは空からのたくさんの



    雨。


    ここ数日、ずっとこうだ。
    気分も滅入るような雨。こんな天気の日に私は何故外にいるのか。
    たしかに私は朝、恋人が大学へ出かける前に「夕方は土砂降りになるから傘持っていった方がいいってテレビで言ってたよ」ときちんと伝えたはずなのに彼は傘を持たずに出てしまったのだ。


    「ったく、こんなミスは患者さんにはできないんだからなー」


    彼が通っている大学はいわゆる医療に関して学ぶことに特化した医大というやつで、彼も将来的にはお医者さんになる予定だ。そんな人がこんな子供みたいな忘れ物をするんだからまったく、しょうがない人だと思う。



    レインブーツを履いていなかったらきっと靴下までびしょ濡れであろう。降りやむことを知らないその雨粒たちは、道路のアスファルトにあたって、跳ね返り私たち人間の足元を濡らす。今日は風がないだけマシなのかもしれない。風があると足元だけでなく髪も身体も全然びちゃびちゃ、間違いなしだ。

    私の手には傘が2本。
    ひとつは今私を雨から守っている花柄のちょっと小さい安物の傘と、黒い大きな傘。大きな傘は彼、レオリオの物だ。
    ぱしゃぱしゃと音を立てて歩みを進める。駅までたどり着くと差していた傘を閉じて、軽く雨粒を落とす。


    「まだかなぁ、レオリオ 」






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