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「まってろ、すぐ帰る」
「えっ」
「帰ってきてほしくて電話してきたんだろ?いい子でまってな」
電話越しでもわかるその甘い声にそんなこと言われたら大人しくまってるしかできず。通話が切れたのを確認してため息をつく。
「はぁ、嫌な子みたいだ」
やだなぁとその場でしゃがみこむ。
いつからこんな好きになっちゃったんだろう。
しばらくそうしていると玄関からガチャガチャと音がきこえてきた。彼が帰ってきた。本当に急いで帰ってきてくれたのだ。玄関までぱたぱたと走って迎えにいく。
「お、おかえり!」
「おう、いい子にしてたか?なーんて」
「してた!してたから、あの」
ぎゅってしてもいい?
おずおずと目線をちらりと上へあげる。レオリオの優しいあったかい瞳と目があって「どーぞ」と腕を広げてくれた。そこに思い切りとびつく。
「えへへ……」
「今日はずいぶん素直なんだな」
「だってそういう気分だったんだもん」
「なんだそれ」
喉のおくで軽く笑う彼の背中に腕を回して思う存分むぎゅむぎゅする。すん、と鼻に香るにおいはいつもの彼のかおり。ジャケットにあった残り香よりもずっと彼を感じることのできるにおい。においだけじゃなくて、今度はぬくもりもある。あったかい。
抱きしめたら抱きしめ返してくれるというのはこんなにも幸せなことだったんだな、と頭のはしっこで思った。
「満足したか?ナマエちゃん?」
「まだー」
「そろそろ俺の方が危ないんだけどな?」
ゆっくり屈んで目線を合わせるレオリオ。その彼の瞳は少し先ほどのものとは違った熱のこもった瞳をしていて、ごくりと息をのんだ。
「今日はこのあと何もないし、明日もお休みだから」
いいよ。
「こんどはレオリオのわがまま聞く番ね。」とちょっぴり照れ臭く笑えばレオリオはそんな返事がくると思ってなかったのか少し驚いた顔して、
「じゃあ、今日は思う存分にわがまま聞いてもらいますか」
にまっ、と笑ったレオリオにドキドキしてしまってあんなに恋しかったのが嘘みたいだ。いまは心いっぱいに満ち足りていた。
……レオリオの優しさがすごく嬉しくてなにか返したくなった。
「ありがとね、レオリオ」
「……いいってことよ」
(ワガママ end)
(3/3)
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