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ずいぶんまえに彼と一緒に買ったビートル07型のケータイを手に取り慣れた手つきでレオリオの番号に電話をかける。ぬくもりじゃなくても、声が、ききたい。
何回かコール音がしてすぐに聞こえてきた大好きな声。
「……おう、どうした?」
「あ、あのさ」
「?なんだよ……」
どうしよう。そんな長い間出かけてたわけじゃないのに。寂しくなっちゃったから帰ってきて。なんてただの迷惑以外のなにものでもないじゃないか。
「いや。ううん……なんでもない」
「…めったにナマエから電話なんてしてこないだろ?言いたいことがあるなら言えって」
「……迷惑だっていうよ」
「言わねえって」
彼がそんなこというはずないのに。なんだろう。今日の私は私らしくないかもしれない。
ぽつり、とちいさな声で話しだす。
「あのね」
「おう」
「レオリオ、ジャケット置いていったでしょ。あれハンガーにかけようと思ったの」
「おー、さんきゅ?それで?」
本題はそこじゃないだろ?と言う彼はこういうときけっこう鋭い。
「そしたら、ジャケットからレオリオのにおいがしてあの、その」
「ははーん、おまえさてはそれで寂しくなって電話かけてきたな?」
電話のむこうからはちょっと嬉しそうな楽しそうな声。恥ずかしい。たったこれだけでこんな気持ちになって彼に電話までしてしまっていることが。
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