夏の全国大会も終わり、私たち一年生と二年生が主体となって活動し始めた秋の頃。




「なんや白石、やけに気合い入っとるなぁ」


「そらそうや。なんたって、あと一週間で新人戦なんやからな!」



私たちにとっての重大イベント、新人戦の時期がやってきた。
夏までの努力の成果を発揮出来るチャンスがようやく到来したのだ。これで、はりきるなと言われる方が難しい。




「そか、白石は試合出るんはこれが初めてやったな」


「おん、誰かさんは控えなのにちゃっかり全国で試合出とったからな」


「白石……。お前そんなキャラちゃうかったやろ」


「何言うとん。俺は結構嫉妬深いんやで?」


「……白石も冗談言うようになったんやな」


「忍足の冗談はヘタレだけにしとってな」


「やかましいわっ!」



なんてよく分からない攻防をしつつラリーが出来るようになった私は、確実に成長してると思う。お笑い的な意味でも。


ほんの半年前まではあんなこと絶対無理だと思ってたのにな。人間やろうと思えば出来るものだね。






「白石も随分強うなったな」


「さよか?」


「おん、格段にレベルが上がっとる。こら、新人戦でええとこまで行くんちゃう?」


「ハハッ、せやったら嬉しいけどな」




ラリー後の汗を拭きつつ、私は笑う。
新人戦とは言っても、この大会のメインは二年生。
私たち一年生とはやはり実力も経験も違うと思う。




「あ、せや。白石は新人戦、シングルスとダブルスどっちで出るんや?」


「ん?シングルスや」


「あれ、前はダブルスの方が好きって言ってへんかったか?」


「んー…。まぁ、色々とあるんや」




まぁ、確かに私はダブルスプレイヤーだ。しかし、もし原作と同じように私が部長となれば、シングルスに出る機会は多分増える。
ならば、今のうちから慣れておこうと思った訳だ。あと、単純に自分の今の実力を知りたかったってのもあるけれど。






「あ、あとな。金色と一氏はダブルスで出るらしいで」


「へぇ、そうなんや」


「まぁ、わりと仲ええしな。あの二人」


「……で?忍足はどないするん?」


「……、白石がシングルスなら俺もシングルスにするわ」


「なんやねん、それ」




多分、いつも私と一緒にいるから、今更別にダブルスを組む相手を探す勇気が無いんだろう。
ほとんどみんなペアが決まっちゃってるから、誘っても断られる可能性高いし。


……こういうところがあるからヘタレって言われるんだよ、謙也は。



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