昨日はあかりと一緒に放課後を過ごして、珊瑚礁も定休日で、久々に早めに寝て体も十分休んだはずなのに、寝覚めは最悪だった。

それでも、いつも通り起きだして、朝の支度と仕事を黙々とこなす。習慣になっているせいか、珊瑚礁を出た時には、いつもの登校時間とさほど変わりなかった。
頭の中がすっきりしない。おまけに天気まで悪い。灰色の空に覆われて、憂鬱な気分が増す。
通学路を歩いていると、もういい加減聞きなれた声が背中にぶつかってくる。デジャブ。こめかみが疼き始める。

「佐伯くん、おはよう!」
「…………おはよう」

ぱたぱたと駆け寄ってきて、俺の顔を覗きこんでくる。相変わらずの、小動物めいた仕草。
いつもなら吹きだしてしまいそうになるのに、今朝は笑えそうになかった。
あかりがいぶかしそうに顔を曇らせる。

「佐伯くん? 何だか元気がないみたい」
「別に、何でもない」
「そう?」

あかりは納得がいかないような顔をしている。
それでも、もうその疑問は口に出さないことにしたらしい。話題が移る。

「あのね、一緒に学校へ行かない?」
「…………悪いけど、急ぐから」

あかりが首を傾げる。

「朝なのに?」
「朝だから、だよ。昨日あまり予習してないんだ。だから……これから学校に行ってやらなきゃ」
「そうなんだ……」

眉を下げて、少し残念そうな顔。顔を上げて、「じゃあ」と口を開く。

「がんばってね」
「ああ、うん……それじゃ」
「うん、また学校でね」

あかりに背を向けて、学校に急いだ。予習なんてする必要もない癖に白々しい。



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