30.犬と猫



(*わんにゃんランドでデェト中のバカップルさん)



「またここかよ」
「だってかわいいんだもん、わんにゃん!」
「わんにゃんって、おまえ……いや、そういう名前の施設なのは分かるけど……」
「さ、佐伯くん、ほらあの子すっごい眠そう……! あっ、今あくびした!」
「メロメロだな?」
「うん! ほら、この子、ふっわふわだよ!」
「ホントだ。すごいな遠目から見たら毛玉みたいだぞ、こいつ」
「毛玉じゃないよ、れっきとしたワンちゃんだよ! 失礼しちゃう。ねー、ワンちゃん?」
「わん!」
「意思疎通してる……さすが小動物同士……」
「えっ? 佐伯くん、何か言った?」
「いや、何でも」
 ・
 ・
 ・
「そういえば佐伯くんは犬派なんだっけ。どちらかというと」
「まあな。なんか、間抜けっぽいとこが良い」
「それって褒めてるの?」
「さあな」
「猫も可愛いのにねー? ねー、猫ちゃん?」
「にゃー」
「また意思疎通してる……ま、どっちも可愛いってのは分かるけどさ」
「わたしは?」
「……は?」
「犬と猫も可愛いけど、わたしは?」
「なんだよ、急に」
「佐伯くんのマネして妙な意地をはってみることにしました」
「何だよそれ。つーか、この間はよくも嵌めてくれたな。おまえのせいでかかなくていい恥をかいた」
「自分から言い出したくせに。ね、どう?」
「いや、どうって……」
「気になるなあ……」
「……じゃあ、猫」
「にゃあ」
「…………」
「にゃーん」
「…………じゃあ、犬」
「わん」
「……お手」
「わん!」
「………………」
「…………わん」
「………………い、色仕掛けしたって、無駄だからな! 言わないからな!」
「(佐伯くん…………)」



2011.04.08
(*この後「あ〜〜〜、もういいや、バカップルで……」と佐伯くんが折れてくれるんだと思います。最終的に。)


(おしまい!)
(30題、お付き合いありがとうございました!)
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