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▼ 先を歩いてみたい

「名前さん。」

前に歩いていたのは、1つ上の学年の苗字名前さん。
名前さんが高校に入ってから、いろいろと忙しく会うことが無かった。
部活のほうも、残念な結果となってしまったが、俺たちの代から赤也の代に交代し今はたまにコートに顔を出して後輩指導の方にあたっている。
今日は、後輩指導をやろうとは思えず家でゆっくりしていようと思い早足で校門を出たのだが。
目に映ったのは、音楽を聴いているらしい名前さんだった。
声をかけても気付かないことは分かっているが、ついかけてしまう。
振り向かないのを確認してから、気配を消してそっと後ろに立つ。
そしてぎゅっと腰に手を回し抱きつく。

「んな!?」
「名前さん。呼んでも気付かないから。」
「ちょ、心臓、止まるかと思ったあ・・・」
「そりゃあ大変ですね。」
「このガキ・・・!人事だと思いやがって!」
「そうですね、人事です。」
「ってそれより腰に手回すのやめてよっ!ほらほら離した!」
「いやです。」

いつも俺の先を行っている名前さん。
何一つ、追い越させてはくれない。
だから、ちょっとでもこうやってからかう事が出来たら嬉しい。
些細なことでも上をいけると嬉しい。
何でも完璧で、神、とかいう存在は認めはしないが、いるとすればなんて不公平なんだろうと思ってしまう。
それほど、先にいるのだ。
そして、今日も。

「ほら、手繋いであげるからさ。ね?」

データは何一つ通用しない。
このままじゃ歩けないから渋々横に出て手を繋ぐ。
頭の中で、抱きつかずにそっと手を繋いでおけばよかったのか、等とどうせ次は通用しないだろう余計なデータを考えている。

「それにしても久しぶりね。」
「はい。いろいろと忙しかったんで。」
「ああ、部活かあ。頑張ったね、別に準優勝だからって落ち込むことは無いよ。」
「・・・。」
「悔いが残ったほうが、負けだからね。一生懸命やったんでしょ?だから負けてなんかないんだよ。」
「!・・・そうですか。」
「うん、そういうもんだよ。」

いつも、声をかけられるのは惜しかったね、だ。
けれど頑張ったね、なんて言われるのは初めてで、しかも負けていない、とか。
いつもいろんな視点から見てくれている。

「あ、そういえば。」
「?」
「この本。卒業式のときに、見てみたいなーとか言ってたじゃん。」
「え?」
「あ、覚えてない?私は覚えてるけど。」

・・・。そんなこと言った覚えはない。
もしかしたら、忘れていたのかもしれない、と思い頭をフルに動かして思い出す。

「・・・ああ!思い出しました。」
「でしょ!で、貸してあげる。この前買ったの。」
「え、でも・・・」
「いいのいいの。カッコいい蓮二君の為に貸してあげようじゃあないか。ほら、貰った貰った!」
「、ありがとうございます。」
「ふふっ。面白いわ、それ。返すのはいつでもいいから。ゆっくり見てね。」
「はい。あ、それで高校の方に返しに・・・」
「ううん!ちがうちがう!蓮二君これから早く帰れるんでしょ?」
「え、ああ。はい。よほどの事が無ければこの時間です。」
「じゃあ、一緒に帰ろうよ。で、その時に返して。」
「え、」
「だって、蓮二君と一緒にいたいしね。中学生ときみたく。」
「っ!!」
「ね、いい考え!」


いつでも先に


(名前さんが中学生の頃とは違う)(一緒にいる時間)

*****
相互記念に歌蓮さんから頂きました!ありがとうございますね。
柳さんがかわいい!とてもかわいいです!!
リクを年上ヒロインにして本当良かったですよ(笑)
小説を頂けるなんて嬉しすぎます。
貰ってから、載せるまで日にちを大分空けてしまってすみません・・・。
歌蓮さん、本当にありがとうごさいました!

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