ゴミ箱 | ナノ


▽ DOUTEI(りょましゅん) ※微えろ


どくどくと心臓がありえない速さで動いている。
身体中を回る血潮も熱を持って今にも燃え上がりそうだった。

いつか心底惚れ抜いた相手と結ばれる日がくる、そう思ってずっとここまで耐えてきたのだ。
その日が、今日、まさに今、やってきている。
真っ白な四肢を俺の前にしどけなく投げ出し、ひとつになる瞬間を待ち侘びている運命の相手。
桐生瞬。天の青龍で、俺の対で、俺の番い。
愛しさを込めてゆっくりと口を吸えば、ん、と鼻から抜けるような甘い声が漏れた。
身体中のあちこちが、俺を受け入れ許してくれているのが窺えてまた更に熱が上がった。

「瞬……入れてもいいか?」

ごくりと喉を鳴らして問えば、薄く水の膜が張った双眸が気だるく瞬く。

「聞くな、……全部、好きに…すればいい」

弱々しくもはっきりと、瞬が俺に許可を出す。
ぴたりと切っ先を宛がえば僅かに震えるのが愛おしい。

「好きに、しちまうぜ。瞬。ずっと、ずっと瞬とこうしたかったんだ…瞬、好きだ、瞬のことが、いっとう、大好きだ」

思いを言葉にしてぶつけて、衝動のままに唇を合わせた。
歯が当たるのも構わずに舌を絡め、お互いの唾液を飲み込み合って、唇を離す。
見詰め合う目は、同じように蕩けていて、腰がずくりと重くなった。
逸る気持ちを抑えて慎重に腰を少しだけ進めれば、狭い入り口にその分だけ、ぬく、と吸い込まれる。

「っ……ぁ、あ」

思わず漏れる瞬の、聞いたこともない声。
ぎゅっと閉じた目の端から零れた涙が、真っ赤に火照った頬を滑り落ちていった。
春画よりもなお生々しく艶やかな姿と、先端をえもいわれぬ加減で締め付けられる感触の両方が、俺の頭の芯をぐらぐらと煮詰めて崩しにかかってくる。

「りょ、…っ、あっぁ!」

上擦った声を聞いたと思った瞬間、俺は何も考えられずに競り上がったものを瞬の白い尻の狭間にぶちまけてしまっていた。


射精後の独特の倦怠感に包まれ、瞬の戸惑いつつも呆れたような視線に刺され、俺はこうして初めての行為を失敗に終わらせたのだった。

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