小ネタにならないくらい短いやつ
ジャンルバラバラ配慮なし




▼TOGf8




身体が熱く動けない。
頭がくらくらする。
思考がままならない。
視界が滲みぼやける。

数日引かない身体を襲う強烈な熱に、自室の寝台に横たわり荒い吐息を零す。原因はアスベルさまを庇ったときの魔獣から受けた傷で、魔獣の爪が毒を持っていたのか、変な菌に感染したのか、飽和された頭だとアストンさんが呼んでくれた医者の説明があまり理解できなくてわからなかったけど、とにかく私の免疫力が低かったせいで暫く動くことすらままならないことはわかった。
アスベルさまを守れたんだから怪我をしたことに関して後悔はないけど不甲斐ないことこの上ない。仕事をしようにも身体は動かないし、逆にかいがいしくケリーさんたちが世話をしてくださって、世話係というのに本末転倒だ。前はあまりの運動音痴のため結局戦闘手段を全くといっていいほど身につけられなかったけど、これはまずいんじゃないかと思う。武器に輝術に、手をつけようとして怒られた過去を思い出し、ただその記憶に少しだけ幸せな気分になる。

ああ、そういえばもうひとついいことがあった。


「……入っていい?」
「あすべる、さま」


ヒューバートさまと一緒に、アストンさんから近寄るなって言われてるからか(勿論、仮に風邪だったときのために彼らにうつすわけにはいかないからだ)恐る恐る入ってくる落ち着いた赤茶色に、ぼやけた視界の中で安堵する。見慣れたものは一緒のようで違うけど、こうやって元気でいてくれるだけで例え嫌われていたとしても私は幸せだったのに、最近は罪悪感からなのかこっそり顔を覗かせることを薄い意識の中でも知っていた。「ん、」と差し出されたものに、これは夢じゃないかとすら思えてくる。


「くろ、そふぃ…」
「お前、よく水やってたから好きなんだろ。…ちゃんと母さんに貰ったものだから大丈夫だぞ」
「そ、ですか……」


紫色で可憐なそれをみて目尻から熱いなにかが流れ、背中は痛いし体中熱くてしにそうだけど、それでも心は満たされていくのがわかった。思わず伸びた手で、差し出されたクロソフィ毎彼のそれを優しく握る。
手の大きさが全く違うのがわかるのに暖かさだけは変わらないんだね、アスベルくん。





キ術のキは変換不可でした。残念。

01/21 ( 20:40 )




▼【TOG】旦那ベルと嫁でクリスマス



アスベルとマツリの結婚式はマツリの出産のことを考えて早めに実施したから指輪は間に合わなくって、式では実は苦肉の策としてアスベルが裏山の花で作ったゆびわを使ってました。なときの出産後日のクリスマスネタ(遅刻)



「アスベルくん!サンタ、サンタさんがきた!まさかの私の枕元にもプレゼント置いてあった!」
「そうかよかったな!中身はなんだったんだ?」
「あのね、まさかの指輪!あれかなサンタさんって私が指輪持ってないの気づいたのかな!?凄いサンタさん凄い!」
「……ん?」
「う、うわああ、これってつけて大丈夫だと思う?で、でもサンタさんからのだし、浮気じゃないし、つ、つけていい!?」
「…マツリ、つかぬ事を聞くけど」
「なに?」
「お前の世界ってサンタって実在しなかったんだよな?」
「…大人になって気付くって残酷だよね。昨日ソフィたちの枕元置くときこれが親の気持ちかーってしみじみ思ったよ。ソフィたちが喜んでくれるまでドキドキしっぱなしで楽しかったけど」
「……お前のそれは?」
「だから、サンタさん!こっちの世界なら確かにサンタさんいそうだもん、まさか大人用だとは思わなかったから凄くビックリした!」
「」
「あ、アスベルくんも指輪貰ったの!?しかもお揃いのやつ!わあわあサンタさんってここまでやってくれるんだ嬉しいなあ!」
「」
「サンタさんに貰った結婚指輪だなんてこっちの世界凄いねアスベルくん!」
「そ、そうだな…」




アスベル≠サンタだと思ってるマツリ。
まさかの夢を壊せず直接渡せばよかった…なアスベルくん。

ついったのネタが勿体なかったので文にしたけどほとばしるマツリアホの子オーラに会話文のみにしました。私はどうやらアスベルくんを不憫にするのが楽しいらしい。


12/27 ( 21:16 )




▼【WT】三輪隊オペレーター代理の女ホイホイ


「こちら三輪、異常なし。月見さん、この辺一帯でゲートの反応はありますか」
『こちらみよじ、ゲートの反応なし。引き続き三輪隊は周囲の散策を』
「待て」
『?何か問題でも?』
「ちょ!なん!おま!!」
「な、奈良坂先輩なんですか?」
「…古寺、通信機耳から離しておけ」
「は、こ、古寺了解」
『状況がよくわからないんだけど』
「どうして!お前が!そこにいる!!!」
「うがっ」
『ちょ…大声出さないでよ。通信機越しなんだから耳痛くなるだろう』
「質問に答えろ!」
『どうしてって月見さんの調子が悪そうだったから仕事代わっただけだよ。君達気付かなかったの?』
「ッ」
「え、月見さんが!?大丈夫なんですか!?」
『今仮眠室で休ませてるよ。大学はこの時期やること多いから疲れが溜まってたんじゃないかな。全く、顔出して良かったよ』
「そうか…それでなんでお前がそこにいるんだ」
『女の勘』
「(女に対する勘の間違いだろうが…)」
「(みよじこえええ)」
『ってことで今晩は私が代理を勤めるから。よろしく、三輪隊長』
「くっ!!」
「おーい落ち着け秀次」
「せ、先輩、民家に八つ当たりはダメですよ!」


女ホイホイの本部での日課は各隊室(オペ子)への顔出しです


12/18 ( 19:53 )




▼【WT】佐鳥親友の一般人



「おっ佐鳥の彼女じゃん」
「ちっげーよ」




「ねえ佐鳥、烏丸……ボーダーの先輩に、こう、猫目のチャラそうな先輩っている?」
「んーうちの学校でも心当たりは何人かいるけど」
「もっと具体的に」
「茶髪で前髪目にぶっ込んでて…あ、なんかやらしそうな顔してた」
「「出水先輩だな」」


前髪ぶっ込んだやらしい人物。脳裏に浮かぶのは一人しかいなくて佐鳥と烏丸はハモると「やっぱボーダー関係者か…」と蒲生は黙り込む。何を言っているのかわからないが、唸るだなんて珍しいと思わず佐鳥と烏丸は目を合わせる。まず蒲生が出水と関係あるということが初耳だった。


「蒲生って出水先輩知ってたっけ?」
「いやそれなら名前知らないのは可笑しいだろ」
「いやー…知り合いというか、大体佐鳥のせいっていうか…」
「俺のせい!?」


心当たりのない嫌疑に「なになに俺なんかした!?なんもしてないじゃん大親友!!」だかなんだかとキャンキャン叫んで蒲生に叩かれて更にやかましくなった佐鳥は置いといて、烏丸は何かあったのかと蒲生に尋ねると彼女は苦虫を噛んだような顔をしてぐっと詰まる。嫌そうな顔だが、もう一度名前を呼べば渋りながらも話すだろうと予想し目を合わせれば、案の定観念したのか蒲生は渋々ながら口を開いた。彼女は友人が少ないことも関係してるんだろうけど一度心を開いてしまった人間には案外弱い。すんなりとはいかないが彼女を素直にさせられる数少ない特権に優越感を抱きながら烏丸はとりあえず未だに喚いていた佐鳥にうるさいとチョップを浴びせて黙らせた。決して、蒲生が佐鳥には容赦ないということに嫉妬した訳ではない。決して。


「で?」
「……さっき廊下ですれ違って声かけられてさ」
「え、もしかして出水先輩ナンパ?」
「そんなんじゃないけど!…その、第一声が『佐鳥の彼女じゃん』って言われちゃって」
「…は?俺ぇ!?」
「……」
「だから思わず腹立っちゃって反射的に暴言吐いて買ったばっかのノート投げつけてきちゃった…」


沈黙。
ゲンドウポーズで完全に俯いてしまった蒲生に、一瞬言われた内容が理解出来なかった佐鳥と烏丸は固まってしまう。そして数秒経過しまず動いた烏丸は蒲生に親指を立てるのだった。


「…やるな蒲生」
「え、ちょちょちょ!腹立つって何!?やるなじゃないってとりまる!っていうか蒲生はなんで腹立ってんの蒲生!?」
「いやだって佐鳥の彼女だよ!?」
「何それ酷い!!とりまるは何そのどや顔腹立つ!!」

「佐鳥はともかく、初対面でノート投げつけるのはまずいだろ。なんせ相手は出水先輩なんだし」
「うう…だって本当に思わずさぁ…っていうか出水先輩ってそんなにまずいの?」

「え、無視?無視なの?」

「やらしい顔通り割とねちっこいな」
「う、わあどうしよ…謝って許して貰えるかな」

「二人とも佐鳥をはぶらないで貰えますか!?」


わあん二人が虐めるうう!などとわざとらしく泣きながら二人の冷めた視線を浴びながら教室から飛び出していった佐鳥に、話しには混ざらず教室内で本を読んでいた時枝が「佐鳥、ちゃんと前見なよ」と何処かズレた声をかける。「流石時枝くん」という蒲生は最早佐鳥のことなど考えていない。烏丸も「とっきーだからな」といつもの無表情のまま頷く。とりあえず目下出水の方が問題だろう。憐れ、佐鳥のことを気にもとめる人間は残念ながらこの場にはいなかった。


「ああどうしよう…下手したら殴られる?殴られるの私?」
「流石に出水先輩も女子には手は出さないと思いたいけど、出水先輩だしな…」
「うわーなんであの時ノートなんか投げたんだろ!?手元にノートさえなければ、」
「いや、いつもお前反射的になんか投げたりするだろ。俺にもそうだったし」
「うぐっ」
「少なくとも殴られそうになったら庇ってやるから安心しろ。佐鳥という壁が俺達には存在している」
「烏丸…!」
「佐鳥も広報だから顔だけは勘弁してね。あと出水先輩はコロッケとみかんとエビフライが好きだよ」
「時枝くん…!」
「大丈夫だ、先輩のことだからボディを狙ってくれるだろ。多分」


さりげなくこの場にいない佐鳥を犠牲にするものの庇うと言い切ってくれた烏丸と傍に来て頼りになるフォローをしてくれた時枝に、蒲生は希望の星を見つけだす。残念ながら既に昼休みは終わっているため明日時枝の助言通り出水の好物を片っ端から買ってチャレンジするしかないだろう。謝るのに一日かかるのは申し訳ないが、怖いものは怖い。佐鳥もいないし(誰のせいだとは考えていない)揃える手札を揃えて明日謝りに――
と、決意を新たにしていた蒲生らの教室まで、佐鳥の叫び声が聞こえてきた。



「ぎゃああああ出水先輩たんまたんま顔もまずいけど腕外れるからいやあああああ!!」
「うるせえ佐鳥!てめーの女どういう教育してんだコラァ!!」
「か、蒲生に手ぇ出したらいくら出水先輩といえどもいたたたたたすみませんすみません米屋先輩見てないで助けてー!」
「はっはー死ねよリア充」
「だからちが、ぎいああああああ」

「…」
「…」
「…」



廊下から聞こえてくる――既に壁は戦闘不能に陥っているらしいやり取りに、蒲生は逃げられないことを悟る。
まさか、こんなことになるとは。ぽん、と肩を優しく叩かれ情けない顔を上げるといつも無表情な烏丸の優しい瞳が映り込み、蒲生は思わずその手を握りしめた。


「大丈夫だ、守るから」
「烏丸…!」


思わず感動した蒲生は烏丸と見つめ合うと、一種のラブコメのような空間に時枝は(役得だなあ、とりまる)と口に出さずに思う。ここで口に出さないのが時枝が時枝たる所以だろう。とにもかくにも、佐鳥の叫び声は止んでおらず、仕方ないと教室を出るとそこには想像通り出水に技をかけられた佐鳥と、そんな二人の写真をスマフォで撮っている米屋の姿。自分たちの知名度と騒がしさから周囲から注目されていることに構わない三人だがこのままじゃまずいだろうと声をかけるのだった。


「先輩方、とりあえず先生に怒られるとまずいので屋上にでも行きませんか」


できる男時枝の気遣いはここでも遺憾無く発揮され隠れファンを順調に増やしていくるのだった。




バカ二人と出会いさせたかったので。
そして夢主は意外と乱暴者です。口より先に手が出るタイプ

12/08 ( 21:08 )




▼【WT】女ホイホイ誕生の日


みよじなまえが女好きであるのは本人が公言していることでありボーダー内でも周知の事実だ。


なんせ入隊時の理由からして可笑しい。
玉狛支部支部長である林藤の親族だからだろう、昔から林藤関係でか旧ボーダー関係者にも関わりが少なからずあったらしいが、なまえが本格的にボーダーに所属したのは第一次進行後の四年半前。近界民を実際目の当たりにして力を手に入れたいと思った者や、大切なものを奪われたからと復讐を成し遂げたいと思った者がこぞって入隊を希望する中、彼女の入隊希望だけは群を抜いて異質だったと当時の面接官は語る。
曰く、


「私の大切で可愛いお友達たちが三門市にいられるよう全力を尽くしたいんです」


この場合【お友達=女の子】だということは言うまでもない。
含みを隠そうともしないなまえに面接官が更に突っ込んで聞いてみると、なんでも既に近界民が出現するような危険な場所と認定されてしまった三門市から友人(女の子)が数多く転校していってしまうらしい。それはわかる。ボーダーは近界民に対抗できるが信頼は獲得しきっておらず、また襲撃されたときに確実とは限らない。この数ヶ月で三門市の人口は減少しており、彼女の友達もその一部なのだろうと面接官は納得した。
そしてその女の子たちから、なまえは離れたくないと泣かれてしまったらしい。まあ、まだわかる。親は少しでも安全な場所で生活したくとも子供というのは友人との別れを辛く思うものだ。何人もの涙を拭ったという流れには疑問に思ったものだが、賢明にも面接官は口には出さなかった。
そして思ったらしい、女の子たちを泣かせる近界民許すまじ、と。なまえの力では涙を流す女の子たちを優しく抱きしめてあげることしか出来ず、安全な場所にいくのだと理解していても自分の傍から彼女たちが離れてしまうことを止めることなど出来はしない。まだ市内に残ることになっている子たちもいつ離れてしまうかわからないと悩みを打ち解けられたこともあった。その時決意したそうだ。私は女の子たちが少しでも安心していられる三門市になれるよう力を付けて彼女たちを守ろうと。更にいえば、既に隊員である女性らのこともこれを機会に守っていくのだと。
そう赤裸々に告白したなまえに面接官は話の一部一部が可笑しくなければ、或いはみよじなまえの性別が男であれば、微笑ましく思えたか汚らわしい目で見たのだろうかと途中手を止めてしまって真っ白な書類と一緒に固まっていた。頭を抱えることをなんとか堪えつつ、整った顔立ちで麗しく微笑む13歳の少女に、そうですか、と返すことしかできなかった面接官はきっと悪くないだろう。
トリオン量も多くはないものの見事合格した彼女の志望動機は未だに伝説として噂されるほど濃厚かつ異常であった。



公言するだけはあるのだろう。明らかに女性重視に優しさを与え甘い言葉を囁いてゆくなまえの存在はボーダーに所属してからも際立っていた。ボディタッチやセクハラ発言はないものの、まるで紳士のような振る舞いは第一次進行後から洗練されており、学校でも女子生徒によく囲まれていたらしいが周囲の人間曰く、以前よりも数は増えているらしい。当時は近界民に心を痛む子たちが多かったからとなまえは語るが正直理解は不能である。
とはいえ、幾ら紳士的であろうとも、その風貌は美しい部類に入ろうとも、所詮なまえは女。だからこそ当時の男性隊員たちはなまえの言動を異質だと思いつつも、女の子を集める姿を見るのは(何よりなまえも美人ではあったので)目の保養だったし、なまえに声をかけられて嬉しそうにする女の子たちの姿はそれはもう可愛らしかったし、これが男のすることなら舌打ちでもいていたのだろうが何より同性同士だからという安心感は強い。なんの危機感も感じず癒されながらも見守っていた。――というのが、まず間違いだったのだろう。
相手が女だろうがなんだろうが女という生き物は優しくされれば嬉しいし、甘い言葉は心を擽る。それが心の柔らかい部分のものであるならば尚更で、なまえは殊更そこを優しくするのが上手かった。何より女の子を守るため力を付けていくということは粉うことなき真実で、入隊してからのなまえはそれはもう周りが目を張るスピードで点数を獲得していた。そこがまた彼女たちからしたら胸をときめかせることになったのだろう。まだ訓練生で戦う姿はどこか拙くても可憐さを滲ませていて、真っ直ぐな相手を見つめる瞳は何処か蠱惑的な魅力を感じる。一時期C級訓練ベースの女性率が上がったのはいうまでもなかった。


ここまできて、漸く男性隊員らが危機感を覚えたときには既に時遅し。



「あ、あのみよじくん、き、今日一緒に、その」
「…そういえばお腹すいたな。よかったら一緒にご飯でもどう?食堂になっちゃうけどね」
「う、うん喜んで!」


今日はボーダー界のマドンナ、綾辻と並ぶ姿に端で眺めていた男性隊員らはギリギリと歯を食いしばる。何処かで佐鳥の「綾辻さんまで…!」という嘆きが聞こえてきたが、この場の男性陣の心情だったのはいうまでもない。さりげなくエスコートしながらマドンナと連れ歩くというのもだが、何よりあの綾辻がなまえを見て頬を染めちらちらと可愛らしく上目遣いでいる姿でいるのが憎らしくてならない。

どうしてこうなったのか。

そうして今日も一人、また一人となまえに陥落していく女性陣たちに男たちは何もできず黙って見詰めているだけ――というのもアレに対抗するには相手が悪すぎた。
そんななまえがB級に昇進したときにチームを組みたいと申し出る女性陣が殺到し(一部役得を狙った男性陣)、一種の戦場がボーダー内に作られたのはそれから間もなくのこと。あまりの競争率になまえは玉狛支部へ異動しチームを組まず、その時「みんなが争う姿は見たくないから」と儚げに微笑みそれでまた女性陣の心を射止めたのは最早新たな伝説。
だがメディア部門としてはこの力を逃す訳にも行かず。こうしてB級でありながら広報活動も行い、かつ永久フリーというイレギュラーな立場を得たみよじなまえという人間は、今日も女の子を愛し黄色い声を浴びるのだった。



(とっきーとっきー!俺らの綾辻さんが!)
(いや、あれは無理)
(とっきー!?き、木虎は違うよな!?木虎はとりまるに憧れて、)

(…綾辻先輩、いいなあ)

(…みよじは凄いな!)
(嵐山さんんん!!)



嫁さんバースデーに女ホイホイバースデー
嵐山隊いるけどあれだ深く考えないで下さい私も深く考えてない


12/06 ( 22:54 )




▼【TOGf】7



アスベルにとって父親が連れてきた自分たちの世話係、マツリという存在は厄介極まりない苦手な存在だった。

自由にさせて欲しい自分に構わず周りをうろつき、置いていっても焦ってこっちについてくる。父親に従順で真面目な癖に、勉強をすっぽかしても怒ることなく苦笑するばかり。たまにお菓子を餌にするから(しかもアスベル好みの甘いそれを)仕方ないといい手をつけるけどこちらを微笑ましそうに見るから不満に思って途中でお菓子だけ奪って逃げ出し慌てて叫ばせることもあった。
それでもアスベルを子供扱いするのは明らかで、気に食わないと思いヒューバートに止められながら悪戯をしてもマツリが怒鳴ることは今まで一度もない。それが更にアスベルの機嫌を損ねるとわかっていても困った顔して後片付けをするだけだった。

マツリのそういうところはいつもアスベルと違うということを思い知らされる。
父親に騎士になるという夢を否定される子供な自分と、年上ではあれどまだ少女なのに既に働いているマツリ。働くのは事情があるらしいから仕方ないけど、それでも自分やヒューバートを見守る姿は母親や姉に近くて、どこか間抜けなのに優しくおおらかなところはアスベルの思う大人そのものだ。
自分の周りには自分と同じくらいのヒューバートとシェリア、それから両親や町の大人たちしかいなくて、自分と年が近いのに自分よりよっぽど上の、自分なんかよりずっと大人な彼女。比べる度に自分が子供だと再認識させられて、悔しくて堪らなくて、マツリに八つ当たりをしてしまいそして笑う彼女に再び苦虫を噛む羽目になる。


だから、アスベルはマツリのことだ苦手で、嫌いで、彼女がアスベルのことを好きだと笑える理由がわからなくて、

そして彼女が自分よりずっと強い人間なんだと、心のどこかでずっと思っていた。

――このときまでは。




「お願いだから、お願いだから…!」


アスベルの身体をきつく抱きしめるマツリの身体は小刻みに震えていて、アスベルからその表情は見えない。けれどいつも明るいその声は身体と同様震えていて、か細いそれはいつもよりずっと弱々しくてどこか幼い。それなのにアスベルの身体をつかむ腕は痛いくらいでそれなのにアスベルは痛いより先に別の衝撃に襲われていた。

こんな姿のマツリを、アスベルは初めてみた。
いつも通り、勉強なんてやってられないと町の外に逃げたところだった。いつもより違うのは、大人たちには決していってはいけないと言われていた森に向かったこと。父親には勝てないがアスベルにも剣の心得はある。その辺の魔獣なんかに負ける気はしない。なんとか止めようと説得しようとしてきたヒューバートに、周りにばれてしまうからと仕方なくヒューバートも置いてきて、一人冒険をしようと屋敷を抜け出して町から出た。その慢心が、いけなかったのだとアスベルは悟る。初めて戦う森の魔獣は問題なく撃破でき、――できたと思った魔獣の、野生の事切れる寸前の力を舐めていた。
気付けば身体はなにかに抱きしめられていて、何が起きたのかわかったのはマツリの肩越しに倒れた魔獣が見えて、思わず身体に触れた掌になにかぬるりとした生暖かいものが流れてからだった。

庇われたのだ、魔獣の最期の攻撃から。
マツリに。



「マツリ…?」


何も考えられず、思わずといったように呟いたそれは囁きのようで、それでもマツリに届くのは充分で。茫然とするしかないアスベルに届いた小さな小さな叫びは、始めて見せたマツリの弱さだった。


「いなくならないで、アスベルくん…!」


それが自分よりずっと何処か遠くに向けられていると感じたのは、果たしてアスベルの気のせいだったのか定かではない。




ショタベルさまデレ期フラグの始まり始まり

11/16 ( 23:56 )




▼【wt】烏丸と佐鳥(と時枝)


前回の子でA級16歳普通校組と





「一緒にいて落ち着くのは烏丸」


目の保養だしと続けていう蒲生に、何処か嬉しそうにするとりまるを見てイケメン爆発と世の男共通の願いを口に出したのは仕方ないことだと思う。俺だってイケメンなのに、くそう。そう返せば蒲生はいつものごとく「佐鳥のは残念なイケメンっていうんだってば」と呆れたようにいい、とりまるなんかは「どんまい」と思ってないことをいいながら肩を叩いてきた。この野郎。
蒲生は俺の親友なのに、この関係に容易くヒビを入れてしまうイケメンが憎い。何よりムカつくのがいつも無表情なのに今は少しドヤ顔してるところだ。しかもそれが似合うのだから尚更腹立つ。


「だって佐鳥は騒がしいしさ」
「いつも元気な佐鳥は好きだってこの前いってくれたのに!蒲生の馬鹿!浮気者!」
「え、何それ知らない」
「酷い!」


いや、正確には防衛任務で休んでたから「佐鳥いなかったから昨日は静かだった」だったが。そう言えば無表情に戻ったとりまるが「佐鳥、それは気持ち悪い」といい近くにいた時枝も「佐鳥それはない」という。酷い、酷すぎる。この場に俺の味方は存在しなかった。



「あ、でも一緒にいて一番楽しいのは佐鳥」
「」


一番。
なんということでしょう、No.1ときた。これが照れながらの一言だったら恋が芽生えてるかもしれない言葉に感動して蒲生を見つめるが、蒲生はその場に広げられたプリッツをかじりながら無感動に「やっぱサラダ味美味しい」なんて言っている。マイペースだなマイフレンド!だがお前のそういうところが大好きだぜ親友!
感動の余り涙目になりながら蒲生に抱き着こうとする、が、ガッと立ち上がろうとするのと同時に肩を捕まれて動きが停止する。振り向く途中、時枝の「ご愁傷様」という呟きが聞こえてきたのは空耳だと思いたかったが、捕まれた肩がミシリと鳴ったのは確実に空耳ではなかった。


「良かったな、佐鳥。一番で」


ミシミシとどんどん圧力を加えられて音の鳴る肩と、いつもより重い圧力がある無表情なとりまるに恐慌状態に陥りそうなのをなんとか堪えて救世主である我が親友に視線をやるが、そこには時枝に用事という名の避難をさせられて親友がいなくなった空の席しかない。この状態でどうしろと。二つの圧力から逃げる術は思いつかない。
さっきとは真逆の意味で泣いた。




11/08 ( 22:13 )




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