「疲れた…」


部活が終わり片付けで遅くなった私は、ぐーとなるお腹を抑えながら電車に乗った。


芥川くんとはさっきお別れした。危ないからと昨日も送ってくれた。


別に大丈夫なのに。


「ふわぁ」


慣れない事ばかりで体はすでに疲れ切っていた。前ほど体力なくなったから余計に。


これから30分程電車に揺られる。この揺れが眠気を誘う。


つい、うとうととしてしまう。しかし時折、首がかくんとして目が覚める。


あ、次だ。


気付けば降りる駅の1つ前。寝呆けた頭を振って眠気を覚ます。


プシュー


開いたドアに荷物を抱えて降りる。まだ少し冷たい風が頬を撫でた。


帰りにパンでも買っていくかな。


未だ鳴り止まないお腹の音に私は苦笑して改札を通った。


「よっ」


見慣れたオレンジ頭。それがこの駅で見られるなんて思ってもみなかった。


「一護?なんでここにいるの?」


「いや、夏梨に頼まれたお菓子を買いに来たついでに」


よく見れば手にはコンビニの袋が下げられていた。


「妹想いの優しいお兄ちゃんですね」


「うるせ」


私はついでか。


それが少しだけ寂しい。


「どうだ?マネージャーの方は」


「うん、なんとかやってる」


「友達は出来たか?」


「あれ?言わなかったっけ?芥川慈郎くんって子と仲良くなった」


それを聞いた一護は、一瞬間を開けてから口を開いた。


「……そっか、良かったな」


「うん」


コクンと小さく頷く。そんな私に一護は手を乗せた。


「今日も夕飯食ってくだろ?」


「うん、ありがとう」


「みんな腹空かせて待ってるぞ」


黒崎家の夕飯は19時と決まっている。今は19時半。みんなに悪い事をしてしまった。


「和希もごめんね」


「気にすんなよ。遊子と夏梨だって和希と遊べて嬉しいんだから」


和希も、遊子と夏梨と遊べて喜んでいる。昨日は一心さんが馬になってくれたらしい。


「あっ、この前たつきと道場に…」


「ニャーオ」


突然、夜道に猫の鳴き声が響き渡った。


しかもなんだか低い声で。


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