「おはよ…」
重たい目を擦りながらリビングに行く。そこにはもうお父さんとお母さんがいた。
「おはようございます、なまえ」
「おはよう、なまえ」
仲良く朝食の準備をしている2人を見るのは嬉しいけど、すごく恥ずかしい。
「忠弘さん!パンが焼けました!」
ひょっこり姿を現わしたのは桐生さん。
「ありがとう直人。じゃあテーブルに並べて下さい」
「はい!」
嬉しそうに返事をして、彼は焼けたパンをお皿に盛り付けてテーブルに並べ始めた。
彼らは事後報告のために尸魂界へ行き、数ヵ月後帰ってきた。お父さんと桐生さんの処分は“永久追放”。どうやら喜助さんと同じらしい。
「直人くん、これも並べてくれる?」
「はい!」
お母さんからサラダを受け取り、同じようにテーブルに並べる桐生さん。
すっかり心を入れ換えた彼だか、私はそんな彼の姿にまだ慣れずにいた。
「なまえ!さっ、座って下さい!」
「あ、ありがとうございます」
さっと椅子を引いて座らせてくれる桐生さん。
ちゃんとしたお礼ってこの事、なのかな。
なんだか恐縮してしまう。普通に接してくれればいいのに…。
引いてくれた椅子に座って待つこと数分、みんな向かい合うように座って食事を始めた。
*****
「なんか変な感じだな」
部屋に戻って出掛ける支度をしていると狼焔が現れた。
「桐生が一緒に住んでるなんて」
「まぁね」
狼焔はまだ少し不満があるみたいで眉根を寄せている。
「でも慣れると思う」
「…お前なぁ」
呆れたように息を吐いた狼焔は頭を振る。
「楽天的だよほんと。誰に似たんだか」
「ははっ」
上着を手に取り、羽織らないで手に持つ。そして携帯とお財布しか入っていない小さめのショルダーバッグを肩にかけた。
「じゃあ行こっか」
「おー」
ドアに手をかけてゆっくりと回し、私達は部屋を出た。
[←] [→]