【人間の想いほど怖いものはない
それが愛情でも憎悪でも悲壮感でも優越感でも、感情とは怖いものだ
全て狂気になる。しかも見えない凶器にもなる】


「そう思わない?骸」


くるくると椅子を回しながら伸びをする茶髪の幼さが残った少年と特徴的な藍色の髪のオッドアイを持つ少年


「えぇ、同感です」


「身体の具合はどう?そろそろ感覚とか戻ってくると思うんだけど」


「そうですね、幻術などはそれなりに感覚を戻せている様です
あとは戦闘ですが、まぁ問題はないでしょう」


「よかったー。あ、そうだ
復讐者のみんなに後始末お願いしておいたから何かあれば呼んじゃっていいってさ」


「ありがとうございます。彼らの手は煩わせたくないですし、穏便に済ませたら一番手っ取り早いのですが…まぁ、そこはその場にならない限りはわかりませんから保留ですね」


「そっか。あ、骸、何か用あったんだよね?」


「えぇ。クロームがご飯ができたと」


「ありがと!じゃあ先に行ってるね!」


「はい」


パタパタと駆け出す少年、沢田綱吉の背中を見送ると骸はぽつりと呟いた


「クフフ、今更になって真実を知り綱吉君を血眼になって探すとは
自分達の首を絞めていることも気づかずただ愚かに大空を探す。霧の中に踏み入れたら最後、ただでは帰しませんよ」


その嘲笑はその場にいない者達に向けられていた



【霧の中に在るもの】

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