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「並盛にボンゴレから一人、監視官を派遣されたんだが、そいつの名前はネイリア・フィラスト」
「ネイリア・フィラスト?監査官とか初めて聞いたよ」
「俺は一度だけ聞いたことがある。監査官という職は知らんが、家光や九代目が目に掛けているらしいな
だが、あの女は好かん。やることなすことは全て自己満足だ」
「その自己満足の為にヒバリは嵌められたんだ。ボンゴレやツナに従わないのが気に食わなかったんだろう
ヒバリを嵌めて、ツナ達を騙し、ヒバリを屋上から落とすように仕向けたのもその女だ」
「!お、おい…その口ぶりからすると沢田達は……!!」
「騙された挙句、あの女の言われるがままにあの女を盲信した。その結果がヒバリのあの姿だ」
「……ほう。なるほど…つまり、先ほどの有様になったのは、沢田綱吉やネイリア・フィリストだと。そう見解を示しているわけですね、リボーン?」
風の確認にその場の全員がリボーンは肯定し首を縦に振るかと思っていたが、そうではなく…首を横に振ったのだ
「……見解じゃねぇ。これは確信だ。ツナのやつ、家に帰ってくるなり笑顔でこう言いやがった
【これでネイちゃんを苛めるやつはいなくなった。これから元の平和に戻るよ!】ってな…。俺は一瞬意味がわからなかったが、そこからしばらくしてから風、お前からの電話だ
これは辻褄が合いすぎてな……」
「……ヴェルデ、こいつは目が覚めるのか?」
「……俺にも分からん。だが、傷も大きなものばかりでな、保証はできん
正直、これで生きているのも奇跡なくらいだ」
「……そうか、コラ。少し前に雲雀と手合わせをして気に入っていたんだがな…」
「僕はもらったケーキが美味しくてね…。僕の全財産をあげるから、彼を助けてよ…!」
ポロポロと涙を流すマーモンを一瞬だけ全員が意外そうに見つめたが、その言葉に答える者はなく…代わりに扉が開かれた
ガラッ…
「なんだ、今は取り込み…「おじさま!」
「ユニ!!お前、イタリアにいたんじゃ…!」
「私が連れてきたの。可愛い娘の頼みは聞かなくっちゃね!」
「アリア…」
中に入ってきたのは現在の大空のアルコバレーノ、アリアとその娘のユニだった
笑顔を浮かべていたが一変して真剣な眼差しを帯びるようになる
「詳しい話はあとよ。この近くに医療施設が優れてる病院にこの子の保護を頼んだわ。そちらに移動しましょう
あと…私達が雲雀君の面倒をみるから貴方達は行ってらっしゃい。行きたいんでしょう?」
「「「「!!!」」」」
「しかし、よいのですか?私達が出るということは…」
「えぇ、わかってるわ。だから、殺すのはダメ。代わりに彼らがしたことを体に染み込ませて絶望を味わせてるのよ
その為に、このビデオも必要になるんじゃないかと思って用意してきたわ」
そう告げたアリアの手には一本のビデオテープがあった。その内容を知らないリボーン達は揃って自分達の中で疑問符を浮かべる
「これは私達、ジッリョネロが極秘に調査していた内容よ
ネイリア・フィリストの出生と目的が含まれているわ。雲雀君を使ってなにをしようとしていたのかもね…
ボンゴレにはこれが効果的だと思って持ってきたの。これでボンゴレをギャフンと言わせられるはずよ」
「アリア、助かるぞ。……ヒバリを、頼む」
「えぇ。少しでも早く貴方の生徒の歩むべき道を正せるように行ってきて頂戴!」
「皆様、雲雀さんは私達がきっと助けます。ですから、これ以上このような被害を出さないように…彼らを助けてください」
「わかったぞ」
ユニやアリアに送られリボーン達は部屋から出ていく。その六つの小さな背中を見送ってからアリアはふわりと笑った
「さ、私達もやることをやりましょう!一刻を争うわ」
「はい!」
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