序章

「いい加減、謝れよ!」


ガッ!


「謝れば有里は許してくれるって言ってんだぜ?」


バキッ!!


「クフフ、永久に堕ちろ。そして果てなさい」


グサッ!


「有里は……貴方を許してくれる……早く謝って」


ズッ……!


「……っ、ぅあ……!」


「痛いでしょう?早く謝ったらこんなことにならなかったんですよ?」


「ぐっ……、可哀想に、ね……そんなとこまで堕ちるなんてね……。あーあ……イザ兄の観察対象でも、ないなんて、さ……」


体の至る所を焼かれ、殴られ、蹴られ、貫かれ、精神に干渉され、ボロボロの状態で屋上にいて、目の前の集団を見据えながら雲雀はポケットをまさぐり、携帯を取り出した



〜♪〜《もしもーっし!やぁやぁ、恭弥。俺俺ー》


「……っ、イザ兄、詐欺はやめな、よ……」


《ちょ、恭弥。何?どうなってんの!》


「今すぐ、中学校に来て……」


《……わ、分かったよ
無茶しちゃ駄目だからね!!》


「うん……」


通話を切ると携帯をポケットに戻す
足に刺さった日本刀を抜いて、腕に刺さっている三叉槍を抜けば腕と足から血が流れ出る


「(痛い…な……やっぱ。イザ兄なら四木さんとかかな。あ、でも怪我してるのは分かりそうだし、新羅を連れてくるかな
腕は確かだけどネチネチ言われそうだし……嫌だな……とりあえず)
下まで降りよう、うん」


「……ッ?!」


「そのまま動くとか、イカれてるんじゃないですか……、」


「イカれてる、か。そうだろうね
僕達はみんなイカれてるんだから。池袋なんてこんなの日常茶飯事さ……
どいてくれない?邪魔」


「……っ、」


「ツナ、どうせ途中でくたばる。放っておけ」


「う、ん……」


雲雀の進路を譲るように綱吉達は道をあけていく
そのまま雲雀は開きっぱなしの屋上の扉を潜り階段へと差し掛かったその時



ガクンッ!!


「!!」


足を踏み外し階段から転げ落ちるように真っ逆さまに落ちていく


トサッ……



「無茶しちゃ駄目って言ったじゃない、バカな弟だね」


雲雀は衝撃を受ける前に抱き止められた
漆黒と赤い双眸を細めて口を開くその姿を見て雲雀は力なく笑った


「馬鹿なのは、イザ兄譲り、だよ……」


「そうかもね。今から新羅のとこに行くから、ゆっくり休んで」


「うん……ごめん、ね……」


「本当に、馬鹿だなぁ……俺も恭弥も
絶対死なせてやんないから」



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