始まりは静かに

「新羅……どう?」


「……ギリギリってところだね。臨也は何があったか知ってる?」


「分からないんだよ。情報が外部に漏れないようにブロックされていてね
今は帝人君に調べて貰っているところさ」


「そう……。予断は許されない状況だね
何せ、手足の出血量が致死量の手前だったんだから。まるで、ナイフや鋭いもので手足を貫かれて、それを抜き取ったような跡もあったし、火傷や銃痕に打撲、内臓の幾つかが破裂していたから……生きていることも不思議なくらいだよ、恭弥の体を診たのは久しぶりだけれど……あれは見たくなかったね」


医者の見解を告げる新羅に臨也は唇を噛み締めてたった一人の弟の名を紡ぐ


「……恭弥……」


「今は、帝人君の連絡を待つくらいしか出来ないね」


「あぁ……」


《臨也、顔色が悪いぞ
お前も休んだらどうだ》


「いや、ただ恭弥がいなくなったら……って思ったら、寝ることも出来ないよ」


「だろうね。臨也、君はブラコンの域を越えてるよ」


「それ、最高の誉め言葉だよ。恭弥は唯一無二だからね」



〜♪〜「!み、帝人君!何か分かったかい!!」


《…はい………っ。でも、これは……酷すぎます……》


電話口の声色が震えているのを聞き逃さない臨也は何が、と返す


《今…岸谷先生の家ですよね…?》


「うん」


《……そちらのパソコンに資料を転送しますから、目を通してください……では》


ぷつん、と切れた携帯を数秒見つめてからセルティにパソコンを持ってくるように伝えた


「帝人君、何て言ってたの?」


「……何か、酷いって言ってた。少し泣いてたみたいだったけど……」


暫くしてセルティがパソコンを持って現れると臨也は慣れた手付きでメールボックスを開いて資料に目を通していく



「…並盛中学校にて、雲雀恭弥による女子生徒暴行。しかし、それはファミリーぐるみで行われたものであり、実際は未遂
全ては、ライアネルを雲の守護者にする為に……?

……っ、ふざけるな!!
恭弥はそんな、そん、な理由で……っ!」



臨也の顔に一筋の滴が溢れる
それを見て驚愕の表情を浮かべる新羅とあたふたするセルティ


「……っく、あはは……っ、あはははは!!そんな理不尽な理由で恭弥はあんな目に遭ったと!許さない、許さない許さない!
許すものか、復讐してやる……!!」



そして──《情報屋》による下準備が始まる


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