終わり。そして始まり

「あの場面で少し早く気づけていればよかったものを……」


ソファーで妖艶な笑みを浮かべるガレリアン。その隣には彼の愛娘が、向かいには紅茶を飲んでいる雲雀の姿があった


「助かる機会をみすみす逃したということです
恭弥様、いかがでした?」


「ただ低脳だと呆れるしかないね、あれは。彼らはどう?」


「今となってはただ謝罪を述べる人形だよ
こちらから話しかけても反応はないし、ただひたすらに謝るばかりだ
保持者の欲しいものは事後の謝罪では無いのに」


大きな溜め息をわざとらしく吐いてガレリアンはカップに口をつけた
雲雀は無関心そうにふぅん、とだけ返して立ち上がった


「これでキャバッローネは終わった
さぁ、次は裁判所から墓場に舞台を移そうか」


「もう行ってしまわれるのですか?
もう少しお茶を楽しんでくださってもよろしいのですよ?」


「我が儘を言ってはいけないよ。保持者は忙しいからね
墓場、ということは彼女かな?」


「そうだよ
彼女はとても空腹を訴えていてね。彼女の為に晩餐会を開かせてあげるのも一興だろう?」


「彼女の晩餐会…私は受けたくないものだ
血生臭くて気持ち悪くなる」


「でもそれが、彼女の楽しみさ
最近はコックが彼女を楽しませられなかったらしいね。Savantsが言っていたよ」


雲雀はコートを受け取り袖を通しながら不敵に笑った


「あの双子か……無邪気故の狂気の塊で私はあまり近づきたくない部類だ
やはり、この裁判所が一番落ち着くね」


「僕はみんなを見ているだけで落ち着くよ
こうして時折話すのも僕の数少ない楽しみの一つだからね

原罪者というものは退屈だね。楽しみが少ない
後悔はしていないけれど

紅茶美味しかったよ
じゃ、僕はこの辺でおいとましよう」


カタッ……と紅茶を飲み干したカップをソーサーに戻して雲雀はその場から姿を消した




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