序章
《OK、お前ら一回集合オーイェイ》
「ああ!?」
「何…」
「うわぁ…」
「…………」
「♪」
「(忍耐……)」
《とりあえずイェイ、お前ら一番最後だしイェイ
この中、早く入れお前ら…オーイェイ
ポウ!!!》
「!?」
《まぁ、あとは…我慢だシェゲナベイベーー》
「くぉ…何だよ、コイツ!?」
「キモチ悪いもお!!」
「この中って…この四角い部屋?」
「入った方がいいんじゃないですか?」
「しょう…べん?」
「!何だ、お前…めっちゃ出てんじゃん…」
「え!?は?
危ねっ…てバカ、出てねぇよ!!!」
「アドレナリン…エンドルフィン…ドーパミン…。脳汁だよ脳汁…
出てんのは脳汁…」
「次は何だろな〜〜…あ…やべ…ワクワクとまんねぇ…」
「おい、雲雀、コイツなんとかしろよ…」
「?別に放っておけばいいでしょ」
「開けるぞ…」
「うん…」
ガチャ、とドアノブを開くと目の前に広がる景色に皆呆然と立ち尽くした
ソファやテーブルが備え付けられており二階への階段がある一見ホテルのロビーかと見間違うくらいに豪華な部屋が現れた
「あ?何だ?」
「これ……普通に家?」
「普通に家ってことはないでしょう?」
「ホテルのロビー…的な?」
「イタリアの家を思い出すな……」
あそこは落ち着かなかったけど、と小さく呟いた雲雀の声を掻き消すようにバタン、とドアがひとりでに閉じられる
そこに書かれていた一文に全員の視線が集まった
《ひいて全滅せしめたらお わ り。》
「ひいて全滅…「ひく」…?」
「ひいて、って平仮名だからどうとでも取れるね……」
「開かないよな、やっぱ……。何なんだ、ここは?一体……「あ…みんな、見てください!!」
「ここ…トイレですよ、普通にほら…」
「こっちはキッチンです…食器もあるし……普通に水も出ますよ……」
「(風呂もあったし、シャワーも完備。ホテルというよりはもう家だ
休める構図になってて終わるまで死ぬなと言わんばかりの)」
「恭弥、気づいたか」
「どれに?」
「ん」
瞬達が二階に上がった後天谷が目を向けた先は斜め上の部屋の隅で雲雀は納得したようにああ、と1つ頷いた
「籠の中の鳥よりも僕は鳥籠にいる鳥を眺める方が好きなんだけどな」
「殺さねぇの?」
「あのねぇ…無駄に血を流そうとは思わないよ。これでも小動物は好きなんだ
それに命じられてもないし」
「……つまらねえだろ」
「何が」
「従うだけで命令されて生きるなんて、あー何ていうんだっけ、マリオネット?」
「別に息しづらいとかは思ったことはないよ。僕の世界を壊してくれた奴を見つけるまでは生き方を変えないだろうね
つまらなくても、それで報復できるなら、マリオネットでいい。神になって世界を自分の思い通りにしようとは思わないけど、この理不尽な世界は変えたいってくらいの意思なら持ち合わせてるよ」
そんな雲雀の心境に何を感じたのか、それとも何も感じてないのか天谷はふぅん、とだけ返しただけだった
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