大縄跳び
「……何か聞こえる」
「?俺は全然聞こえねーけど」
「……」
パシン、パシン……
「はぁ……っ、はぁ……っ」
天谷と雲雀の目の前にいるのは縄を飛んでいる男子1人とその縄を回す【はまうら】と【まさくん】と書かれたこけし2体
「(縄跳び?しかもまたこけし?)
ここはこけしの王国なの?こけししかいないわけ?」
「恭弥?」
「おっと本音が」
《だから諦めろよおめぇ、仲間みんな死んじまっただろうがよー》
《ほんま兄さんの言う通りっすわ。諦めたらええんや》
「恭弥、何をしたらあんなに人の体って綺麗に切断されんの」
「なんで僕に聞くのさ」
「詳しそうだし」
「大きな鎌やギロチンくらい鋭利なものだろうね」
「!た、助け……、これ、鍵……3人で飛ばなきゃ……」
次の瞬間に飛んでいた男子は安堵か疲労によってかバランスを崩し大縄に引っかかり足が切断され、次に下半身が、そして引っかかった部分が次々と縄によって切断されていく
「「!!」」
《はい、ざーんねーん》
「3人で飛んだらカギが手に入るってことかな、これ」
「恭弥、やる?」
「別にいいけど。でも3人必要らしいよ」
「ンなモンこけしぶっ壊したら終わりだろ」
「あ、なにそれ面白そう」
「なんなら飛べるだけ飛んでみる?」
天谷の提案に雲雀は大歓迎、と口角を上げると縄跳びをまっすぐ見てから軽く準備体操を始めた
「どっちから入る?」
「天谷からでいいよ」
「ん♪わかった♪」
天谷が軽くその場で数回ジャンプしてから縄の中へと入っていくのを見た雲雀は続いて縄へと入る
《お、新しい奴がきましたよ兄さん》
《3人で100回飛ばねぇとこのカギは渡さねーぞぉ。カウントもしねーからな》
「君たちのカウントとかいらない。天谷がカウントするからいいよ」
「え、俺なの。別にいいけど」
「はい決まり」
そんな会話をしながら天谷はカウントを始めて、その後ろで雲雀は病室から出る時に黒田の遺体から取った自分の眼鏡を付けて生死をかけた縄跳びを始めた
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