また会えますように


数日後、天谷は並盛中学校の校門に立っていた。とある一人の男子生徒に会うためにやってきたのだ
私服でしばらく待つ。以前の自分ならそんな回りくどいことをせずに殴り込んでは出せと脅しただろう
もう拳を使うのは避けた。いや、拳を使うことができなかった。人を殺すことも人を殴ることもしなくなった、できなくなった


「(!きた)」


「?えっと…誰か探しているんですか?」


「…あー…お前、沢田綱吉?」


「え、そ、そうですけど…」


「ちょっと話あるんだけど、雲雀のことで…」


「みそら高校の人ですか?」


「そう」


「付いてきてもらって、いいですか?人に聞かれるとまずそうですし…」


「別に」


そのまま綱吉に言われるがままに校舎へと入る。一際豪華な部屋《応接室》とかかれた部屋に入ると鍵を閉めた


「ここなら大丈夫だと思います。ここは…雲雀さんの使っていた部屋なんです。高校に通いながら、たまにこっちにふらっとやってきては書類整理とかして」


「雲雀のいた部屋……」


「雲雀さん、高校の話は全くしなかったんです。仕事だからどうでもいいの一点張りで」


「……雲雀は、俺が殺した」


「え……。雲雀さんを……、殺した……?」


「ああ」


「……違いますよね、だって、目が違います。貴方の雲雀さんを思う目は、憎しみなんかじゃない
……大好きだったんですよね、雲雀さんのこと」


「なんで、そう思う」


「わかります、なんとなく。雲雀さんは何か言ってましたか?」


「……最後まで約束守れなかったことを謝りたかった、と…あと、ありがとう。って……」


「そうですか。ありがとうございます……
みそら高校での雲雀さんはどうでしたか?」


「正直話したことなんて数回だったけど、芯は強い。似た者同士…いや、同じだと思った
高畑も同じだと思ったけど、違う意味での同じ…雲雀は誰かを求めていないと一人で立てないやつだと」


「やっぱり、雲雀さんは雲雀さんだったんですね」


ホッとしたような表情を見せてきた。よく雲雀が太陽のようだと言っていた理由が分かる気がする


「好きだったと思う……でも、愛することと殺す事は一緒だ
だから俺は雲雀を殺したんだ」


「ありがとうございます、雲雀さんを愛してくれて。オレも雲雀さんが大好きで兄のようだったんですよね
……最期に会えなかったのは残念ですけど、オレ達はそんな世界で生きてるから後悔はしないって誓ってるのでオレは後悔しません」


綱吉は揺らぐ瞳を隠すように笑って大丈夫だよ、大丈夫だよ、と繰り返していたのを見ていた天谷は口を開いた


「俺は高畑と一緒に生きる。じゃないと雲雀は絶対に怒るだろうから
沢田綱吉だっけ……話せてよかった。また会えるといいな」


「はい。また会えるといいですね」


天谷が部屋から出て行くのを綱吉は涙を堪えながら笑って見送った


「(雲雀さんと天谷さん、本当に似ていたな……強いけど弱さを知らないから脆いから、天谷さんに高畑さんという方が支えになりますように)」



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