そして終焉


「(拍子抜けってわけじゃないけど、でも……)」


アイスを手に持ち眺めながら雲雀は目を伏せていた
このまま終わるとは思えない、そしてこのまま生きられるかわからない、どうなるんだろうか、とそんな考えが頭の中を巡っていた彼は周りのように楽しめるわけもなく、ただ溶けていくアイスを眺めていた


「ん……?何か…。!!
……あはは……ねぇ…天谷」


「……なんだよ…慰めなら「天谷のこと、嫌いじゃなかったよ。楽しかった」


「なんだよ、急に気持ち悪い」


「違いない。あーあ……天谷ともっと戦いたかったなぁ……綱吉にも謝りたかったな…最後まで約束、守れなかった……」


「馬鹿じゃねぇーーー…」


天谷は馬鹿じゃねぇの、と言いかけてその言葉を飲み込んだ。目の前にいる雲雀は目尻から涙を零してアイスの棒を踏みつけた
そこに書かれていたのは【あなた 死ぬ】天谷は自分の手から落ちたアイスの棒を抜き取り見てみると【あなた 生きる】
そのアイスの棒についた残ったアイスを舐めとると雲雀は悔しそうに歯噛みをする


「たかだかこんなので決められて、どうせなら殺されたかった……天谷に壊されていきたかった」


「だったら壊して…《ダメだよー》


雲雀が振り返りながら目を見開くとそこにはマトリョーシカの一番小さいものが立っており、天谷が手を伸ばすがわずかに届かない
マトリョーシカの目から放たれたビームが雲雀を撃ち壁へと打ち付けられた


「ぐっ……!あま、や……ありがーー……」


「!!」


そこにあったはずの体は青い光となって夜空へと消えていくのを見上げながら天谷は拳を握りしめ地面へと振り下ろした
手から溢れては消える青に天谷は叫ぶしかなかった


「あ゛あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!」


初めて暴力以外で人を愛した、初めて人に心を許した、初めて大切だと感じた。でもどうすればいいかわからなかった。もっと素直になればよかった、欲望に忠実にいるべきだった、もっと大好き、愛してる、ありがとう、いっぱい言ってやればよかった
今となればもう何もかも遅いけれど
雲雀を殺したのは俺だ。こんな運で決められて殺されたなんて言うものか
俺が、大切な雲雀を殺した、見殺しにした
立方体から見下ろす群衆に笑った


「あっははは…あははははは…」


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